投資先国としてのコロンビア

約1万4,000キロ離れた日本とコロンビア。愛想がよく保守的な国民性、南米で唯一カリブ海と太平洋にの両湾に接する地理的利便性、独自に歩んできた32の県と5,000万人を突破した人口・・・。
コロンビアでビジネスすることは、何を意味するのでしょうか。

世界に類を見ない生物多様性

この国を語る上で欠かせないのはその生物多様性。一つの生きものに対する品種の多さ・奥深さを享受できることが、コロンビアビジネスの特権であり最大の醍醐味と考えます。これだけ多様な生態系をもつ国でクリエイティブなプロジェクトを実施できる機会は一生になかなかありません。

当地は世界一鳥類と蘭の種類が多いことで知られ、パナマ国境には世界の冒険家の垂涎の的である幻の蘭が生息しているとか(ちなみに国花もカトレア)。一般的な植物、両生類、蝶、淡水魚の種類の豊富さも世界で2番目を誇り、爬虫類の数では第3位、哺乳類では第4位です。推定によれば、南米は希少樹木の種類がもっとも多く(約8,200種)、植物における大陸固有種(特定の大陸にのみ生息する種)の割合も約49%と最も高いため、まだまだ発見が続きそうです。あまり知られていませんが、コーヒーで有名なコロンビアは茶畑も豊富で紅茶の栽培も盛んです。最近はスペシャリティティーもブランド化され、紅茶を嗜む機会も増えました。また、果物・野菜全般、砂糖、ココア、肉、シーフード、乳製品などの主要な生産・輸出国でもあり、食糧の安全保障を見据えた「世界のパントリー」としても頭角を現わしています。

FDI (2022年発表)によると、コロンビアは過去2年間で食品・飲料への投資プロジェクト誘致(案件ベース)が中南米で第三位にランクインしています。それと関連し、2019年食品加工部門はコロンビア製造業分野のGDPの約33%を占めました(Procolombia)。

コロンビアはその地理的利便性から中南米の消費者全体を包括できる輸出拠点であるほか、開かれた経済政策(FDI締結等)により、国内外約15億人以上の消費者がビジネスの対象です。広大な国土には豊かな農業用地があり、例えばアボカドは栽培に適した240万Ha以上の土地(8万2,946Haが現在使用中)、パイナップルは同1,250万Ha(同3万8,317Ha)、マンゴーは1,120万Ha(同3万3,433Ha)、ピーマンは1,230万Ha(3,479栽培)、唐辛子は1,170万(同5,225Ha)、パパイヤ同820万Ha(同8,736Ha)、イチゴ同300万(同2,552Ha)、タマネギ1,310万Ha(1万5,889Ha)、ジャガイモは同140万Ha(同19万954Ha)となっています(FAO)。アグリビジネスにこれほど適した国はありません。

コロンビアが一年中オファーできる新鮮な果物

当地には国際市場で人気のあるさまざまなトロピカルフルーツ(バナナ、アボカド、ライム、パイナップル、マンゴー)とエキゾチックフルーツ(ゴールデンベリー、グルパ、ドラゴンフルーツ、グラナディラ)があり、その気候から年中まとまった生産が可能です。 輸出状況をみると、中南米で2番目のバナナ輸出国(輸出量ベース)であり、アボカドが4位(同)、ライムが6位(同)にランクインしています。政府は、果物にまつわる輸出を強化し、パパイヤ・ドラゴンフルーツ・マンゴーなどの果物の衛生規制への準拠を促進するため植物検疫処理の機械や自動選別、冷凍輸送や温度管理倉庫等の投資誘致に奨励措置を発表しています。特に、急速冷凍倉庫の建設分野は2022年のホットトピックであり、国をあげて果物の加工部門に注力しています。

カカオ

カカオの農業用地は1,280万ヘクタールがあり、Fedecacaoによるとコロンビアが輸出するカカオの95%はフィノデアロマ(花のように薫るプレミアムチョコレート)となっています。その卓越した品質は、インターナショナルカカオアワードやパリのサロンドショコラなどの国際展示会でも認められています。同産品の栽培と加工は、コロンビアの5万2,000世帯の雇用を創出しており、コロンビアの400を超える自治体で約16万5,000人の直接的・間接的な関わりによって支えられています。ちなみにカカオ栽培用地17万6,000ヘクタールの約14%(2万5,000ヘクタール)は以前コカインなど違法作物が栽培されていました。政府はこの産品を単なる経済的強化でなく、国家の平和を実現する「社会的包括」のミッション、違法作物の代替品の一つに掲げています。そのため、カカオバターやカカオマスなどの半加工製品を生産するための加工工場建設に投資誘致奨励措置を導入しています。

当地でビジネスすると、

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多様な生きものを工業材料や医薬品などに直接加工できる。

バイオテクノロジーによって、新たな医薬品や食料、エネルギー開発に役立つ可能性もあります。特に、アチョーテ(ベニノキ科の植物)はじめ食用色素をもつ植物が多いため、「まだ誰も見たことのない色」で化粧品を試作したり、珍しい種子を炒めて調味油を作成するなど、わくわくすること間違いありません。

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フルーツ・カカオパラダイスで加工の掛け算がとまらず。

約114万平方キロメートルで栽培されるフルーツは前述の通り、可能性にあふれています。北部カリブ海地域ではバンレイシ(シャカトウ)、サポジラ、セイヨウカリン、タマリンド、チョンタドゥーロ、変わり種のマンゴーやバナナなどのエキゾチックなフルーツのほか、北西部アンデス地域はクルバ、マンゴスティーノ、ブラックベリー、パイナップル、グアバ、パッションフルーツ、フェイジョア、ルロ、オレンジ、タンジェリン等。東部オリノキア地域(柑橘系)、南部アマゾン地域(オリノコ川上部のルロ)、太平洋地域(ボロホ、アルミラホ、セイヨウカリン)とそれぞれ固有のエキゾチックフルーツを有しています。

材料がそれだけあるということは、加工の種類も無限大ということ。ジャムやガム、アイスクリーム、飲料関係はもちろん、子ども用歯磨きやシャンプー、食器洗い洗剤の香りづけ等日用品までアイデアは広がります。自然や多様な生きものとふれ合うことは、参入企業のさまざまな知識や技術、豊かな感性や創造性を培うこと請け合いです。

ダイナミックな国内市場

コロンビアは中南米で4番目の経済規模をもち、2021年にGDPは10.6%増。2026年にはブラジル、メキシコ、アルゼンチンより高いGDPが想定されています。さらに5,100万人以上の国民のうち30.2%が31.2才以下(Procolombia)という若さから、消費意欲も非常に盛ん。今後は堅実に伸びる中間層をターゲットにしたその消費市場としての魅力も増してくることが予想されています。コロンビアは、南米で唯一太平洋とカリブ海に国境を接し、競争力のある輸出拠点でもあります。大陸の中心に位置し、北半球・南半球どの目的地にもアクセス可能でありながら、FTA恩恵により、アメリカ大陸の約97%と優先的にビジネスができます(世界のGDPの約31%以上を占める10億人の人口が対象)。 FDI誘致のため、政府はインセンティブも積極的に取り入れています。自由貿易地域制度、Plan Vallejo、輸入原材料および機械の関税削減または免除、輸入機器のVAT除外、科学、技術、革新への投資の投資誘致、および農業・経済・インフラ建設・観光ホテル・自動車産業など多岐にわたっています。ちなみにスマート農業分野でも2022年7月現在付加価値税(19%)申告免除となっており、ビジネス環境の整備が整っています。