エクアドルに「コンピューター農業」到来へ
土壌・気象の状態を知ることはフィールドでの生産プロセスに役立つ。まして、衛星情報を備えたデータベースの活用ならなおさらだ。
エクアドルのヤチャイ工科大学(Universidad Yachay Tech)の研究者グループによる「コンピューター農業」のプロジェクトは、オープンソースまたはフリーのソフトウエアやハードウエアを活用することでデータを収集・リソースを最適化し「インテリジェント」の耕作を目指す。
この中には気象予測モデルと蒸散に関する人工知能の分類、及びより生産的な播種・収穫のために畑の状態をモニタリングする最先端の情報プラットフォームも含まれる。
ヤチャイ工科大学 地球・エネルギー・環境研究室の教授のホセ・ルイス・フローレスは、この技術の利用により
①農業生産モデルに変化をもたらし、作物の生理的側面を測定できる
②最先端技術により徹底的な技術的フォローアップを可能にすると主張する。また
③土壌だけでなく空気、気象、降雨や他の農業気象学的予測用のツールを統合し、作物の害虫や病気の発生を予防する
④潅水と施肥を改善することも強調した。
加えて、「精密農業」に基づくシステムの確立も目指している。精密農業により、作物の収量増加と経済資源、例えば肥料、水や殺虫剤などの利用を最適化できる。
研究者が求めているのは資源利用の改善、生産コスト削減、品質と生産量の向上だ。教授によると、このアイデア自体は新しいものではないが、中小規模の生産者が最適な技術的インプットを無料で得られるところに付加価値が存在する。
このプログラムは生産者の直接利益となるよう、無料となる見込みだ。
フローレス教授は、データはオンライン上にアップロードされ、利用者が簡単にアクセスできるようになると述べた。現在すでに特定の土壌とパイロット版情報の掲載されたウェブページが存在しており、アンデス山脈地域に焦点をあてたAgrineer.orgのコンピューター農業のツールの一部として機能している。そのページには成長率と土壌湿度予測用計算ツールのデータが掲載されている。
このイニシアティブは、情報共有とプロジェクト資金調達のために国内外の公的・私的機関との戦略的提携を思案している。専門家は、農業生産を促進し農家にトレーニングを行うための農業起業家センターの開設を検討している。
コンピューター農業はすでに様々な国と地域で開発が進められており、すでに好調な結果をもたらしている。近頃Google Xは4輪ロボットのMineralを発表した。Mineralの目的は、取り付けられたセンサーとカメラを用いて、耕作地を移動しながら植物の検査を行うことである。このロボットの動力源は、上部に取り付けられたソーラーパネルを利用した太陽光エネルギーである。