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コロンビアの歴史は、サトウキビ栽培の歴史でもあることは知られている。 スペインからの入植者
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当地アグロ経済紙(Agronegocio, 2022年9月19日付)によると、現在計22カ
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辛みもさることながら、フルーティーな香りが特徴の唐辛子ハバネロ。 メキシコ発祥ですが、コロ
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2022年9月12日、JICA横浜にて「次世代の農業を担い革新を起こす人づくり」研修で、日
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当地経済紙Portafolio(2022年9月8日付)によると、中国の自動車企業Jetou
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コロンビアにおける2021 年バナナ(国内に約400種類)の総生産量は 241万3,768
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2022年8月、全国水産養殖漁業局 (AUNAP) 第3回全国小規模漁業者会議を実施し、全
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深刻化するウクライナ情勢を背景に、殺虫剤や肥料など農業に必要な生産資材の価格高騰が続いてい
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南国フルーツの代表格であるパパイヤは当地では年間約6万4,000トン生産されており、現在そ
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現在、コーヒーは約60カ国で生産されており特にブラジル、ベトナム、コロンビアの上位3か国が
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コロンビアといえばコーヒーの印象が強いが、ワイン産地の顔ももつ。8 月 11 日から同月
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コロンビアの閣僚の確認しているとき、79歳のセシリア・ロペス農業大臣のTwitterのトッ
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8月7日はコロンビア独立のきっかけとなったボジャカ戦勝記念日であるため、4年に一度の大統領
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世界的なコーヒー輸出国として知られるコロンビアで、今後30年は試練となりそうだ。当地農業経
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コロンビアで収穫されるサトウキビ、60%が黒砂糖(パネラ)用途で32%が白砂糖に。
現在国内31の県でサトウキビ栽培に適した土地あり、外国企業のビジネスチャンスとなるか。

コロンビアの歴史は、サトウキビ栽培の歴史でもあることは知られている。

スペインからの入植者がこの国に到着してからわずか 20年後(1510年)にはサトウキビはパナマ国境であるダリエンのプランテーションで栽培開始され現在も継続。その用途としては主に白砂糖用、黒糖、バイオエタノールの燃料等が挙げられ、Asocaña(サトウキビ生産者連盟)によると2021年のみでバジェ県カウカ川では約17万,687ヘクタールの用地がある(サトウキビ栽培は温暖な気候条件があるため、コロンビアでもバジェデルカウカ、カウカ、リサラルダ、カルダス、キンディオ、メタの 6つの県の 51 の自治体に集中)。この地域のみで計 127 トンのサトウキビが収穫できる。ちなみに、国内第三の都市カリの空港(於パルミラ市)から10分も走ればサトウキビ畑が広がり、日本人は自動的に「ざわわ、ざわわ・・・」とつぶやくになっている。


Procañaによると、サトウキビ用地24万1,000 ヘクタールのうち75% は独立農家、25% は製糖企業所有農家である。そのうち18万1,000ヘクタールを所有しているのは4,500の大規模農家、1,100農家は10ヘクタール未満を所有し、大多数となる65%の生産者は 60ヘクタール未満で栽培している。サトウキビの安定生産では、繁忙期の人員確保やより一層の作業効率化・省力化が重要であり、機械化一貫作業体系が基本と考えられる。コロンビアではこのような用地面積の格差があり、零細農家にとって重機導入が拡大への要といえそうだ。


農業省、農業農村計画局 (UPRA)によると、栽培可能なサトウキビは国内280 万ヘクタール以上あることがすでにわかっており、7万人以上のサトウキビ生産労働者と 2万を超える関連工場が国内で主にハチミツや黒糖を製造するなど、国家としてもサトウキビ産業の衰退は許されない。主に生産が集中しているのは前述した6つの県だが、それ以外にも計28の県、511 の自治体に分散しているため、全国の生産量は毎年1.0トンを超える。繁忙期のオペレータ不足(労働力確保への取り組み)、当地ではまだ根付いていない土壌診断結果に基づいた石灰資材などの施用可否やその方法、に自己資金で中古機械を導入する場合の修繕フォローや貸借システム等、国の補助事業に頼らざるを得ない状況が続きそうである。

半面、日本企業にとっては日本南部のサトウキビ生産での経験から、植え付けから収穫まで機械設備の外国投資、作業省力化(株出し管理や肥培管理)など、ビジネスチャンスといえそうだ。

コロンビアのマンゴー輸出が中東向けに19.7%増

当地アグロ経済紙(Agronegocio, 2022年9月19日付)によると、現在計22カ国と取引するコロンビアのマンゴーが中東からの需要が増していることがわかった。前年比19.7%増となる第一四半期の売上高は1,140 万ドルに達している。
統計庁(Dane)によると、マンゴーの主要輸出仕向国はカナダ、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、グアテマラ、フランス、スペイン、オランダ、クウェートである(ちなみにコロンビア国内の主要栽培地は中央クンディナマルカ県、首都ボゴタ、北西部アンティオキア県、中央トリマ県)。
鮮度の重要なフルーツは、鮮度保持の難しさにより長距離・長時間輸送を前提とする海外輸出量が大きく制限されており、当地マンゴーの場合空路で最大4日の猶予しかなく、また到着後最大10〜15日で消費されなければならない。コロンビアの鮮度保持個装パッケージ技術は未だ発展途上であり、大手フルーツ会社は梱包をより繊細な女性の手に頼る程度の企業努力にとどまっているという。

輸送時の果実損傷はもちろん、中東向け長期海外輸送の温度保持(荷下ろし、検疫時)や鮮度保持には日本の技術参入のチャンスもあるのかもしれない。
同社によると、マンゴーは子供のおやつとして理想的であるのはもちろん海外の顧客を引き付けるのはその香りと風味、糖分の高さである。中東は農業食品供給の多様化が進んでおり、バラエティに富むコロンビア産フルーツの需要は今後も高まりそうだ。

衝撃的な辛さのハバネロ  色素ポテンシャルの高さでコロンビアの次なる輸出品目となるか

辛みもさることながら、フルーティーな香りが特徴の唐辛子ハバネロ。

メキシコ発祥ですが、コロンビアでもコルドバ、マグダレナ、ボリバル、バジェデルカウカ、ラ グアヒラで生産量の87%を占める(標高2,000メートル迄であれば栽培可能)、新たな輸出産品として関心が高まっています。
当地アグロ経済紙アグロネゴシオ(2022年9月14日付)によると、ブラジルとメキシコのハバネロサンプルとの比較実験が実施され(重量、辛味、ミネラル量などの要素を評価)、最も重量のあった品種はコロンビア産(1ハバネロあたり 15.99 g)であり、水分量が最も少ない(脱水実験)ことも判明しました。
ミネラルの濃度に関してはブラジル品種(0.1534g)が圧倒したものの、コロンビア種は143.7190 マイクログラムという最高量のカロテノイド (果物・野菜などに多く含まれる天然色素成分。吸収されると血液の循環によってさまざまな臓器中に運ばれ、抗酸化性など栄養素を含む可能性が指摘されている) を記録。同紙によるとカロテノイドは唐辛子に特徴的な赤色色素だけでなく、バクテリアなど害虫対策にも有効であるそうです。

コロンビアのハバネロは未だ国内でも栽培が知られず、細々と中央アジアアゼルバイジャンの8つのスーパーマーケットチェーンと直取引している程度だそう。しかし、ブラジル産よりもカテノロイドが高い傾向があることがわかり、今後天然色素由来の化粧品の色素、染色等の用途を目的とした栽培が強化されるかもしれません。また、唐辛子としての食品用途も可能性は広がり、オリーブオイルと掛け合わせた調味油や香辛料、漬物等コロンビア産ハバネロが市場に出回る日も近くなりそうです。

農業コミュニティにおける地域振興策にジョイン!
2022 年度日系社会研修「次世代の農業を担い革新を起こす人づくり」にて、弊社代表が登壇しました。

2022年9月12日、JICA横浜にて「次世代の農業を担い革新を起こす人づくり」研修で、日系パラグアイ研修生向けに登壇しました。

国内外の農村振興のための人材育成を目的としており、テーマは「フードバリューチェーン」。ここ数年、パラグアイ農業を支える日系社会では、後継者問題(一世から二世)、1980年代以降出稼ぎに行った二世の出戻りに対する取り組みを始めています。一世が培った経験と勘の農業とスマート農業への過渡期でもあり、新たなフードバリューチェーン構築、IoTによる栽培管理の必要性が見直されるようになってきています。

今回研修では、パラグアイ農業が今後「持続可能なフードバリューチェーン、新たなアグリビジネス」に対してどのように責任を果たすことができるか、ビジネスのヒントはどこにあるのかという点を議論しました。参加者は二世が多く、これまでの農業プラスSNSを活用した広報活動(発信してファンを獲得すること)に意欲的であり、AKARI SASとしてもこういった機会を活用して、積極的な情報発信に注力したいと思っています。


2022 年度日系社会研修「次世代の農業を担い革新を起こす人づくり」コースの2日目のプログラム「フードバリューチェーン」内で、コロンビアの事例を基に食農分野のビジネス構築にフォーカスを当ててディスカッションしました。弊社がこれまでコロンビアの特に稲作・米粉に関するプロジェクトに多く携わっていることから、そこで得た農業従事者との提携やビジネスの芽、日本とのフードアグリビジネスの可能性についてもお話しました。


研修主催者からは当初、「コロンビアでのフードビジネス」を例に、「どのようにSDGsの達成に寄与できるか」、「スマート農業のフードバリューチェーンを議論できるか」、という点についてディスカッションしてほしいというリクエストがありました。


そこで、今回は一般的な情報も盛り込みつつ、事前に研修参加者のプロフィールをいただいたこともあり、1)新しいフードビジネスを興す(日本×パラグアイ)というのはどういうことか、2)パラグアイ日系人にとってどんな課題があるか、3)今後どのようなビジネス機会があるか(日本はどのように貢献できるのか?)、4)ファンをつくるとはどういうか、という四点で構成しました。

実際の参加者は主に二世で、道の駅や産品のブランド化、広報活動などに関心の高い農業従事者がそろっていました。
ディスカッションでは、特に以下の3点が興味深いポイントでした。1)食べなれない食材にチャレンジすることの少ない現地パラグアイ人向けに何をヒントとするべきか、2)稲作や日本野菜を栽培してもほとんど利益にならない量のディストリビューションに対する課題、3)インスタの活用面の問題(スペイン語、日本語)。
研修本編終了後も、マスク着用でしたがオンライン質疑応答も盛り上がりました。パラグアイの新しいフードブランド化についてはまだまだ語られる場面が少なく、活発な議論に励まされました。


弊社としてはより積極的に同国のポテンシャルをサポートし、発信していく必要性が高いと改めて認識した次第です。

コロンビアの乗用車市場に中国のJetour社参入開始

当地経済紙Portafolio(2022年9月8日付)によると、中国の自動車企業Jetour社がコロンビア市場に正式参入した。


2021年時点で同社はすでにエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、チリ、ペルー、アルゼンチンなど 20 か国に進出しているが、コロンビア進出は中南米へのリーチを強める目的がある。

中南米で販売されている乗用車はX70 シリーズで、エクアドル、ペルー、ウルグアイ、チリなどの国で最も売れている 5つのブランドの1つである。

2020年10月、中国政府は新たな国家計画を発表し、2035年を目処に従来のガソリン車を廃止し新車で販売するすべての自動車をHV、PHV、EV等の環境適応車とする方針を示した。電気自動車やコネクテッドカーの分野は、中国政府が補助金を投じて支援しており、習近平政権が掲げる産業政策「中国製造2025」の重点分野に位置付けられている。

またコロンビアでも電気自動車やハイブリッド車への切り替えに取り組んでおり、2035年以降新車のガソリン車販売が禁止となっている。100%電気でモーターを回して走る電気自動車(EV)の台頭が進む中、中国の存在感が増していくことが懸念される。

バナナ生産者が直面する資材高騰問題 新たな施肥技術の必要性

コロンビアにおける2021 年バナナ(国内に約400種類)の総生産量は 241万3,768トンであり、農業省によると2022 年約249万トンを突破すると予測されている(前年比約2%増)。

バナナは農業部門GDPの5.3%を占め、国内の29万3,648人の直接的・間接的雇用を支えている。
バナナ生産者協会によると2021年と2022 年各1月~7月期間の輸出用梱包バナナは2,430万869箱(一箱20kg)から 2,599万7,908 箱(同)へと 7%増が見込まれており、特にマグダレナ、グアヒラ、セサール県で生産量が伸びている。


数字を見ると盛況なバナナ市場の内情は複雑なようだ。生産者にとってビジネス収益性という観点では、①国際市場に出荷するための認証取得にかかる費用、②肥料原料の高騰とにより今は苦境にある。新型コロナウイルスによる物流ストップからの経済の立て直し、コンテナ危機、世界的な不況、ロシアのウクライナ侵攻による殺虫剤の高騰等が具体的な苦境の要因と考えられる。


農村計画 (UPRA) の農業資材の物価指数によると、肥料原料と殺虫剤の物価は2022年6月の前月比平均0.65%増加した。これは前年比同月2.58%増と推定された値よりも低い数値であった一方、2021年7月~2022年6月の累積変動率は103.3%で2年前(2020-2021年)の14.5%を上回り、物価上昇が浮彫りとなった。

このまま続くと、肥料や農薬の高騰によりバナナ農家が十分な施肥や殺虫剤散布などができず、農作物の生育に影響が出る可能性もある一方、補助金頼みではいずれは行き詰まる。バナナ、ひいてはコロンビアの農業従事者が新たな施肥技術の獲得を目指す日は近そうだ。

小規模漁業者に公的社会保険の給付加速。
国産水産業の安定供給の一歩となるか

2022年8月、全国水産養殖漁業局 (AUNAP) 第3回全国小規模漁業者会議を実施し、全国から100人以上の小規模漁業従事者が参加した。

漁業部門はコロンビア経済GDP の 0.2%を占めており、約30万人以上(正規雇用は約12万人と想定)の雇用を支えている。

本会議の目的は、今後どのように持続可能で安定した漁業を実現できるかであり、具体的にはこれまで手つかずだった公的社会保険給付が焦点となっていた。
そして、2022 年8月3日付で法令2268号が承認。正規雇用でなくとも社会保障を給付することが公となった。労働の季節性を考慮し、一時的・又は短期の雇用につくことを常態とする被保険者に対する失業保険も認可される。ちなみに、この給付を申請するためにはAUNAPに対して漁業者登録を済ませておく条件がある。


また漁業管理プロセスの可視化も強化され、製品のトレーサビリティ・保存・品質が漁業者に収入として還元される努力義務も発効した。
コロンビアにおける漁業は主にマグロと深海エビが中心で年間15万トン程度の漁獲量である(2019年AUNAP)。

梱包や冷凍輸送等付随する様々なニーズが隠れており、主に外国企業が得意とする分野だ。

雇用の安定性と外国投資誘致を通じ、国内水産業がどう向上するのかが重要なポイントとなってくる。

農業資材高騰 ウクライナ情勢の影響濃く

深刻化するウクライナ情勢を背景に、殺虫剤や肥料など農業に必要な生産資材の価格高騰が続いている。特に肥料はロシアとウクライナ両国からの輸出減少で価格が大きく上昇し、農業生産者の負担がかさんでいる。ただ、販売価格への転嫁にも限界があり、経営の先行きが見通しにくい状況だ。


当地で農産物の生育に必要な肥料の原料の一つ、リン・カリウムの大部分はロシアから輸入しており、調達先の変更は必至だ。ペソ安も重なり、コロンビアは苦境にある。


コロンビア農業農村計画ユニット (UPRA)の発表によると、2022年6月の月間農業資材用肥料と殺虫剤の価格は、前月比 0.65% 増となり、前年同月比 2.58% 増であることがわかった。平均月間価格の変動(UPRA)は 2022 年1月 5.5%、2月3.4% 、3月 2.0%、4月11.7%、5月6.1%、6月0.6%で推移している。


UPRAによると、2022 年1月~6月間で除草剤31.79%増、殺菌剤7.15%増、殺虫剤8.94%となった。

生産調整がしにくい野菜など生鮮食品の販売価格は需給動向で決まるため、資材価格の高騰が農家の所得減少に直結している。

コロンビアペソ安による輸入物価押し上げも重なり、政府が食料の安定供給に向けた支援策をどう策定していくのか注力する必要がある。

アンティオキアで遺伝子組換えパパイヤ播種の動き

南国フルーツの代表格であるパパイヤは当地では年間約6万4,000トン生産されており、現在そのうち約38%は中央部メタ県で栽培されている。

一方、伝統的には北西部アンティオキア県ソペトランで栽培されており、パパイヤリングスポットウイルス(PRSV)病のため壊滅的な状況が続いていた。PRSVは元々アブラムシの一種によって媒介し、葉が縮れ、実に斑点が生じる。パパイヤは荒地に土を入れ、そこに苗を植え、やがて根を張って成長するため収穫まで約3年かかる。一度ウイルスに侵されれば新しく栽培するのは現実的に不可能であり、このウィルスに抵抗性のある品種しか同じ畑では栽培できないことになる。


アンティオキアで再びパパイヤを栽培できるよう、1990年よりメデリン国立大学でPRSVに耐性を持たせた遺伝子組換えパパイヤの研究が始まった。遺伝子組換えパパイヤの植物体が得られ、生産者と研究者、検疫局(ICA)の協力のもと試験栽培を経て、2022年新品種「コトヴェ」が誕生した。

すでに200本の苗がすでにアンティオキアで発芽しており、今後、農家の被害や要望に応じてコトヴェ苗を配布していくものとみられる。「優れた品種ならば栽培してみたい」のは生産者に共通の思いで、主にバナナ生産地となったアンティオキアで再びパパイヤ圃場が見れそうだ。
また、当地スーパーマーケットでもウィルス抵抗性を加えた新品種パパイヤが流通される日が近づいている。コロンビアでも、遺伝子組み換えに過剰反応する消費者、あくまで遺伝子組換え技術をヒトの予防接種のように理解し受け入れる消費者と様々である。栽培し流通するまでは生産者の問題であっても、消費者の選択の天秤にどうかけられるか、その審判が迫っている。

コロナ明けのコロンビア・サレントで見るスペシャリティコーヒー産業の今

現在、コーヒーは約60カ国で生産されており特にブラジル、ベトナム、コロンビアの上位3か国が有名です。当地はコーヒーを栽培し、諸外国に輸出して外貨を得てきた伝統があり、世界最大のアラビカ種コーヒー生産国でもあります。当地から輸出される多くはコモディティコーヒー(缶コーヒーの原料)であり、全てブレンドされて国際価格で決められ、生産者が付加価値を付けることはないものの、ゲイシャはじめスペシャリティコーヒーも飲まれています。

このスペシャリティコーヒー産業は、弊社のプロジェクトのターゲットの一つでもあります。今回、100年以上栽培と手法を守り続け「コロンビアのコーヒー産地の文化的景観」として世界遺産に指定された「サレント」のコーヒー農園「Finca Don Elias」を訪れました。2年前に面会したオーナーのElias氏はアルメニアに移住してしまい、現在は娘に経営を譲ったとのこと。同農園はコロナ期間中は約1年人の出入りをシャットアウトしていたそうですが、相変わらず高品質なスペシャリティコーヒーを作ることに取り組んでいます。自らの畑でコーヒーを栽培し、海外で焙煎するために生豆で輸出するほか、残りは、主に国内市場向けに昔ながらの方法で加工および焙煎がされています。

農園入口

まず初め、先住民の医療用ハーブが自生する畑で説明を聞きます。そして忘れてならないのがバナナ。コーヒーの木は定期的に水を必要とするのですが、バナナの木は内部に水を蓄え、土壌が乾くと水分を供給する力があるそう。

バナナ

ここで育ったオーガニックバナナは果肉がほんのりピンクで、土の滋味がぎっしりと詰まっており一度このバナナを食べると、もうスーパーの二束三文国産バナナには戻れないほど。2年前に食べて以来その味に惚れ込んでしまい、今回は「まだ熟してないけど、カリに戻って食べて!」と三房持たせていただきました。

スーパーのバナナとは全く違います。
バナナの木の幹

コーヒーの苗。実がなるまで3年かかります。

コーヒーの苗

大きな木になるまでは12年。高低差があり、機械化のできない分野。この範囲をたった2人のスタッフが管理しているそう。コーヒーチェリーはまるでさくらんぼのようなフルーティな味。

コーヒーチェリー

豆の選別、洗浄、乾燥作業。

焙煎
乾燥小屋


乾燥作業。時間によって豆の色(白いほど一級品、黒いほど二級品)が変わります。基本的に、風味を損なわないよう生豆で出荷され、焙煎は消費国で行われます。

いれたてのコーヒー


極上の一杯。間違いなく、これまで飲んだコーヒーで一番美味しい。二番目はこちらで飲んだ2年前です。
普段飲んでいる一杯のコーヒーに、こんなにも多くの労力がかかっていること、そして農場の方とは山に存在するスピリチュアル信仰、先住民との関わり、木を育てるということ・・・時を忘れて語らいました。ずっとこの景色が見られるよう、今後も彼らのビジネスチャンス拡大をサポートしていきます。

8月11日より中南米最大規模のワインEXPOがボゴタで開催中
自然派ワインへの注目集まる。

コロンビアといえばコーヒーの印象が強いが、ワイン産地の顔ももつ。8 月 11 日から同月 14 日まで、首都ボゴタでワインエキスポが2年ぶりに開催されることとなり、内外から訪れるバイヤーや一般客でにぎわっている。


コロンビア国内では、ボゴタが最もワイン消費量の多い地域(48%)であり、続いてメデジン (26%)、カルタヘナ等北部カリブ地域 (13%)、カリ (7%) が続く。昨今、市場に台頭しているのはヴィーガンワインだ。動物由来成分を使用しないワインが対象で、醸造最終工程において、にごり成分を吸着させるときに使用する「清澄剤」に、動物性のもの(ゼラチン、卵白など)を使うことができない(もしくは、「清澄剤」自体を使用しない)。現在すでに60を超える、こうした自然派ワイン(オーガニックワインを含む)が流通している。(※ただし、未だ政府が公的に認証するヴィーガン認証システムはなく、生産者があえて情報提供している状況).

ここ数年高まりを見せるコロンビアの健康志向がワインにまで広がりを見せていることがわかった。

本エキスポではSDGsに沿ったワインの特別展示もあり、環境に影響を与える添加物や化学物質を含まない製品が並列している。会場であるCorferias には会期中(8/11~8/14)3万5,000 人来場予定のほか、オンラインで世界中から 約30万人の視聴を予定しているという。

コラム 「私はヴィンテージなのよっ!」

コロンビアの閣僚の確認しているとき、79歳のセシリア・ロペス農業大臣のTwitterのトップが「ババアって呼ばないで! 私はヴィンテージなのよっ! 原文:¡vieja no, Vintage!」と書いてあり吹きました。でもすぐに、「大臣になって年齢のこと言うなとまず書くなんて、いやな目にも遭ってきたんだろうな」ともう一度アイコンを見ました。

Twitter


海外ではよく年齢と歯を尋ねることは失礼と言いますね。コロンビアも御多分に漏れず、特に女性に対して人前で「おいくつですか」なんて聞く人を見たことがありません。というより、尋ねる理由がないのです。肌の色(南米で一番混血度が高い)、経済格差(エストラトと呼ばれる社会経済階層制度あり)、靴や香水の感じで、相手がどのようなバックグラウンドを持ち、どう見られたがっているかが浮彫りなので、たとえ目尻にカラスの足跡が目だっても、その人がミニスカを履いて髪をストレートになびかせていれば、20代として扱うのがマナー。日本以上に見た目重視の国なので、実年齢に重きをおいていないことも大きいのでしょう。


また、日本では業務上、年齢がわかることである程度の役職を想像できるのですが、こちらは一度正規雇用されても3年以内に辞める人が大多数、現在何らかの雇用の恩恵を受けても70%が転職活動中というデータもあるので、仕事上年齢を聞くメリットもない。私が教習所で書類を埋めていたとき、お腹のでたおじさんが直々に「分からないことがあったら何でもきくように」と話しかけてくれたので、外国人なので珍しがってくれてるのかと合点していたら、下働きの雑用係でした。


ただ、女同士のおしゃべりでは自分から「私は来年40だからもう2人目なんて無理~!」というカタチから分かることもあります。あと、タクシー等の限られた状況で「うちの子どもが・・・」と話していると、「悪いけどあなたいくつ?」と質問されることもあり。アジア人は若くみられやすいのは世界共通です。
農業大臣は79才。いわゆるキャリアの国家公務員を経て早い時期に政界に転身したプロの政治家であり、晩婚のためほぼ仕事に捧げたキャリアだったでしょう。人生百年とはいえ一般的に「おばあちゃん」年代の彼女が現役で閣僚を引き受けるまでの道のり、幾度も鞍替えした政党を思うと、女だから得したことも損したことも想像できないくらいあった気がします。日本の付き合いのような同性でつるむ文化はないとはいえ、男性に囲まれて仕事をする、独身(彼女は50才過ぎて結婚)なので仕事で結果を出し続けないと支持者に顔向けできない、女性の意見も反映しないと肩身が狭い・・・。家庭も仕事もどちらもやりますという若い女性も台頭してくる。SNSトップの「私はヴィンテージなのっ!」にこめられた気持ちは、彼女の道のりそのものだと思います。

コロンビア初左派政権のファーストレディ、ベロニカ。
常にロングヘアをなびかせて女アピールをする当地に珍しく、ショートカットがとてもお似合い。

新農業大臣セシリア・ロペスが挑戦するコロンビア農業の未来は「土地活用」と「女性」がキーワード

8月7日はコロンビア独立のきっかけとなったボジャカ戦勝記念日であるため、4年に一度の大統領就任式は同日に開催されることが慣行である。2022年8月7日、この国始まって以来の左派政権となるグスタボ・ペトロ氏が新大統領に就任し、「愛するコロンビアのために団結しよう。武器を捨てよう」と国民に呼びかけた。


新大統領が牽引する閣僚の一人がセシリア・ロペスである。79才の新農業大臣は「恵まれた農業地形と豊かな水、中南米で最大の農民人口。私たちはすべてを持っているのに、一部の技術不足により食品(完成品)を輸入してばかりだった」と嘆き、「議題の俎上に農村をあげる」と宣言している。

農業省が取り組む最初の課題は土地活用である。土地台帳システム(農業用地の用途・目的を再定義し、それに応じて課税を徴収する)を開始し、土地を所有する人々が休耕地扱いにする場合、税金の徴収を可能にするという。しかしその土地はあくまで政府が「非生産的」と分類した場合対象となり、それも所有者とのコンセンサスがはかられる。目的は課税だけでなく、コロンビア農地を客観的にカテゴリー分けしてすべての農業生産システムに利益をもたらすことと主張する。現在、耕作地の 14% 未満つまり 国土のうち約3,920 万ヘクタールしか農業に活用されていないことに危機感を覚えた政府の目玉政策となりそうだ。


当地農業が第一に目指すことは国内市場を満足させることだが、当然輸出強化も視野に入る。ロシアのウクライナ侵攻やドル高騰などの外的条件によって引き起こされる食糧危機を考慮すると、コロンビアのもつ農業国としてのポテンシャルは過小評価できない。国内需要の充足と海外市場での競争力がキーワードとなる。

加えてロペス新大臣は「農村の女性を」中心において農業改革を行うと断言した。「この分野の女性達は社会的地位において最低にあり、すでに男性との格差がある都市の女性ともかけ離れており、土地の所有権すら持っておらず農業をやめたら何も残らない。非常に不安定な状況で労働している」と語り、問題解決へ努力することを約束した(当地経済紙LR, 2022年7月16日付)。

コロンビアは現在農産物、食品、飲料部門で年間 計150 億米ドルの輸入規模があり、輸出額の約 94 億 4000 万米ドルを上回っている(2021年DANE)。輸入のうち最も多いのはトウモロコシ、小麦、大豆で、それぞれ 610 万トン、190 万トン、150 万トンで計70% を占める。この貿易収支の是正がポイントとなりそうだ。

もう1つ、畜産用の土地活用もロペス新大臣を待つ課題である。 DANEによると、畜産用の土地は国内約 3,400 万ヘクタールが使用されている。畜産業は多くの土地を必要とするため、前述した土地台帳システムはその用途と中身(農業と畜産のバランス)を決定するため活用されるようだ。ロペス新大臣は定義された用途に応じて、国へ土地を国に売却するか、生産するか、税金を支払うかを決めてもらうという。「押し付けることではなく、対話が大切」と語るものの、今後大きな波乱を呼ぶことは想像に難くない。

2050 年までにコーヒー栽培面積が最大 50% 減少見込み。 気象・病害虫予測アプリに商機

世界的なコーヒー輸出国として知られるコロンビアで、今後30年は試練となりそうだ。当地農業経済紙Agronegocios(2022年8月1日付)によると、世界的な気温上昇と降雨量の変化によって起こるさび病のまん延により、場合現在全国で栽培している約93万1,746 ヘクタールの土地が最大半減する可能性があることがわかった。


現在全国約 55万5,692世帯の生産者家族がコーヒーを栽培しており、首都ボゴタ周辺の高地で収穫していることもあり、ほとんど機械化は進んでいない。人手が求められるため家族で代々継承する産業でもあり、安定的な作物の収穫はコロンビア農業の死活問題でもある。


コロンビア政府も手をこまねいているつもりはないようだ。国をあげて効率、生産、持続可能性(環境的に)を見直しており、新しい技術導入にも意欲的である。その一つが「コーヒーさび病対処と中米生産力向上の統合プログラム“Programa integrado de combate a la roya del café y recuperación de la capacidad productiva en Centroamérica”」である。その中で生産者が圃場上のデータを迅速かつ効率的に集めるスマート農業を導入することとしてあり、気象情報とその対応に特化している。GPSを通じてさび病発令のリスク条件等がまとめられており、意思決定プロセスに貢献できるようになる。


一方、同システムが公的資金を使って全国コーヒー農家に配置することは現実的ではなく、危機感やリソースに応じて各生産農家(特にスペシャリティコーヒー)が取り組むほかない。日本の栽培管理システムを保有する会社にとって、コロンビアコーヒー農家とのビジネスがより近くなるかもしれない。