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(空港近くの道路封鎖。車を降りて歩いて向かう人が目立ちます) この国に居住し、ビジネスする
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2021年に欧州委員会から提案され2023年に最終的な合意に達し、2024年12月に発効が
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海外在住者の垂涎の的といえば、TKG! 卵かけごはん! 正直、寿司やラーメンはどこでも食べ
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日本はあっという間にお盆休みも終わった頃と思いますが、コロンビアの8月は凧揚げの季節。夏休
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メールが急に穏やかと思ったら、日本はもうお盆休みですね。毎年仕事がぐんと楽になるこの時期に
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畜産大国コロンビア、何度も言いますが本当にこの国のお肉はおいしい。 シャトーブリアンなど希
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一人あたりのコメ消費量が日本を超えて43.2kg (2021年、Fedearroz)を記録
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さて、昨日7月20日はコロンビアの独立記念日でした! 思い出すなぁ、こちらに来たばかりの1
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サッカー好きな人はピケはご存じとは思いますが、今回紹介したいのかフィケ(FIQUE)! 
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仕事柄コロンビアのコーヒー農園を訪れた経験は何度もあります。ぬかるんだ山道を陸路で数時間…
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トウモロコシ(学名Zea mays)の主な分類方法として、穀粒の形状や利用目的に基づき①デ
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当地経済紙Agronegocio(2024年6月26日水曜日付)によると、2022年コロン
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欧州グリーンディール(European Green Deal、EUが主導する持続可能な経済
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当地経済紙Portafolio紙(2024年5月9日付)によると、当地の輸出は金額ベースで
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農業流通チェーンにおけるトラック運転手の大規模道路封鎖の影響は?

(空港近くの道路封鎖。車を降りて歩いて向かう人が目立ちます)

この国に居住し、ビジネスする上でげんなりするイベント。約90日に一度必ず実施される何らかの抗議活動デモ!! 

これはもれなく道路封鎖がついてくるので、主要道路の先に勤務先や学校がある場合生活への影響は必至。無論もっと頻繁な国もあるんだろうけど、「8月中にやってほしかった…」、「出張あるのに空港行けない…」と始まる前からストレスを感じます。ただ、大抵のコロンビア人にとっては必要悪であり慣れっことなっているのか、わりと「自分の意見を表明することは大切で、デモをするなという権利は誰にもない」と淡々と受け入れていることが印象的。コロンビアに住んで10年以上になりますが、「生活に支障が出るのが迷惑」と思う自分が幼稚だと感じるのはこんな時です。

そのお決まりの抗議活動が先週9/4~9/7にかけて、今回はトラック運転手によって実施されました。彼らが直面している経済的な負担や業界の課題に対応するためで、具体的には以下の理由です。

  1. 燃料費の高騰
    当地は2022年10月以来、15回以上ガソリン価格の値上げを繰り返しており、現在1ガロン(約3.7リットル)あたりボゴタ:1万5.573ペソ(約531円)、メデジン:15.506ドル(約529円)。満タンにすると5,000~6,000円が飛んでいきます。燃料価格が上昇すると、運送業者や個人事業主の運転手は直接的な負担を強いられるだけでなく、多くの場合彼らは下請けで契約によって運賃が固定されているため、燃料価格の変動に柔軟に対応できず結果として収益が減少します。燃料補助金があれば、こうしたコスト増加を緩和できるとの主張の理由です。
  2. 運賃の低迷
    コロンビアではいまだ陸路輸送が中心で、競争が激しい運送業界では運賃が抑えられる傾向があります。特に小規模の運送業者や個人事業主のトラック運転手は、大手企業との競争にさらされ、運賃が低水準に据え置かれることが多いです。運賃が燃料費やその他の経費に見合わない場合、補助金によって生計を維持するための支援が必要になります。

そして政府の公式発表(2024年9月8日付)によると、抗議活動初日である9月4日(水)の時点で卸売市場における食糧備蓄量が8月28日に比べ49.7%減少したことがわかりました。


最も影響を受けた供給センターは、北東部ブカラマンガのCentroabastos、首都ボゴタのPlaza Samper Mendoza, ボゴタ近郊トゥンハのComplejo de Servicios del Sur、南西部カリのCavasa、北西部バジェドゥパールのMercabastosとなります。ボゴタではトラック入庫が55%減少し、ブカラマンガでは76.8%減少しました。


いう間でもなく、それにより食品価格の大幅な上昇が確認されています。例えば、ネイバ県のレタスは280%上昇し、キロ当たり3,040ペソ(約103円)で売られ、カリでのレタスは258%上昇し、キロ当たり3,077ペソ(約105円)となりました。一方、中西部アルメニアではトマトの価格が93%上昇し、キロ当たり3,939ペソ(約134円)。その他玉ねぎ、インゲン豆、豆類なども道路封鎖による値上がりを記録しています。


単純な①輸送の遅延・停止(今回の道路封鎖により、農場から市場や都市部への野菜の輸送が遅延、または停止した。供給が減少することで市場における野菜の供給不足が発生し、価格が上昇)による理由だけでなく、②野菜の劣化(特に生鮮食品である野菜は保存期間が短いため輸送の遅れが品質に悪影響を及ぼす。質の良い野菜が減少することで、需要が供給を上回り、価格がさらに高騰した)や③物流コストの増加(封鎖に参加していない一部の物流業者や直接販売業者が迂回ルートの利用や別の輸送手段の手配が必要になる場合、輸送コストが上昇する。このコストは最終的に野菜の価格に転嫁される)ことなどが指摘されます。

加えて果物も大幅な値上がりを見せました。マニサレスでは、パッションフルーツの価格が69%上昇し、キロ当たり4500ペソ(154円)で販売。他にもツリートマトの価格が29%上昇し、キロ当たり3000ペソ(102円)に達しました。
コロンビア農業省も手をこまねいているわけではなく、内務省と鉱業エネルギー省に協力を仰ぎ、統合司令部を設置。封鎖による食品流通への悪影響を軽減し、農家と消費者への損害を最小限に抑えるべく、供給ルートの確保に成功したと述べています(2024年9月8日日曜日付当地経済紙アグロネゴシオ紙)。


9/9以降は、一旦道路封鎖は緩和されると発表されていますがまだ緊張は続きそう。


農作物や生鮮食品は迅速な輸送が求められるため、道路封鎖により品質が劣化したり、廃棄せざるを得ない状況が生まれていることがよっぽど胸が痛い。

一体何をどう解決したら、供給チェーンに影響を及ぼさずに抗議活動ができるのか? 「正しいデモのやり方」なんて指南本がほしいなぁ、そもそも市民生活に悪影響を与えずに国と交渉する術がもっとないのか? ロビー活動がなぜ効果がないのか? とやきもきしながら推移を見守っています。

EUの森林破壊防止法(Deforestation Regulation)がコロンビアのコーヒーに与える影響とは?

2021年に欧州委員会から提案され2023年に最終的な合意に達し、2024年12月に発効が待たれるEUの森林破壊防止法(Deforestation Regulation)。

この法律の目的は、EUが世界の森林破壊に与える影響を低減し、持続可能な生産と消費を促進すること。主に、
①違法伐採製品の禁止:EU市場に持ち込まれる製品が違法に伐採された木材や農産物を含んでいないことを確認する義務が輸入業者に課される。
②デューデリジェンスの義務: 輸入業者や企業は、サプライチェーン全体にわたって森林破壊に関連するリスクを評価し、必要な措置(リスク評価、是正措置)を講じる。
また対象製品に①木材、②パーム油、③大豆、④コーヒー、⑤カカオなど、森林破壊と関連が深い農産物が対象となり、これらの製品を使用した加工品も含まれている。

コーヒーはコロンビアを代表する輸出産品であり、零細農家に大きく依存しています。EU向けコロンビア産コーヒーの輸出も盛んですが、①「コーヒー豆が違法伐採でないことを証明する」書類の詳細が不明であるため多くの生産者が準備不足に陥っており、供給の混乱が予想。その結果、貿易業者は12月30日までにできる限りEUに出荷しようと輸出を急いでいます(当地経済紙アグロネゴシオ2024年8月31日付)。
7月までの7ヶ月間、世界有数のコーヒー生産国であるブラジルからの輸出は、昨年比で65%増加。ウガンダは、主要生産国であるベトナムの大規模な供給不足の後、欧州向けロブスタコーヒーの供給に注力しており、先月は記録的な輸出量を記録したほど。EUの森林破壊防止法が施行される最後の収穫は今年10月のため、それに向けた収穫・調整・輸出が急ピッチで進んでいるんだとか。また価格面をみると、主にインスタントコーヒーに使用されるロブスタ豆は1970年代以来の高値に高騰しており、加えてより品質の高いアラビカ豆は、2024年30%以上も上昇している。コンテナ不足、輸送時間の長期化も状況を悪化させている。


森林破壊防止法が施行されると、デューデリジェンス(適切な注意義務)のほか、リスク調査等や持続可能性の調査のための追加コストが多くのコロンビアコーヒー生産零細農家を苦しめることになります。また、EUの市場にコーヒーを輸出する業者が森林破壊に関与していると判断された場合製品のEU市場へのアクセスが制限される一方、供給が認められればそのブランドイメージ向上も言わずもがな。
多くのコーヒー業者と同じように、コロンビア生産農家も「サプライチェーンの再編をすべきか(EUから一旦退くか)、環境意識の高い消費者層を盛り込むため、書類準備に時間とコストを費やすか…。

私は長期的な利益に繋がる可能性を見据え、体力のある大手企業が生き残り、小規模零細農家はほぼ脱落するのではないかと予想しています。

コロンビア コメ1人当たりの年間消費量46㎏突破で順調に増加

海外在住者の垂涎の的といえば、TKG! 卵かけごはん! 正直、寿司やラーメンはどこでも食べられる。でも卵かけごはんだけは、衛生上不可能(食べて平気という人もいますが、こっちのたまごの殻にはフンや草がよくついているので自粛。だいたい30個約600円で販売されており、賞味期限も約20日と長いのが特徴)。一時帰国のお楽しみは、新鮮なたまごとほかほかごはんです。


そして今回はおコメのニュース。コメの消費量の世界平均は地域や国によって大きく異なりますが、FAO(国際連合食糧農業機関)によると2023年時点での世界平均はおおよそ 年間約54kg これは一人当たりの数値であり、主にラオス、ベトナム等アジア諸国が高い消費量を占めています。ちなみに日本はFAOによると年間49㎏で、パンやパスタの人気が高いわりに主食としての地位はそのままの様子。

さて、コロンビアでは2019年の最後の調査では41㎏であったコメ消費量が2024年に46キロに達する見込み(Fedearroz公式発表)。同品種の作付面積が41万3,644ヘクタール(2023年)も9.5%の増加が見られ、国家統計局(DANE)によると2024年の総面積は45万2,872ヘクタールに達します。消費量に関しては、最も消費量の多い都市は人口1,300万人を抱えるボゴタで、年間35万トンの白米を消費したそう(FEDEARROZ)。2位はアンティオキア県の29万トン、3位はバジェデルカウカ県の23万トンと、人口の70%が集中する国内のトライアングル地帯での胃袋を支えていることがわかります。


一方、面白いのが人口で割った一人当たりの消費量に目を向けると、最も傑出した地域は同71キロの北部コルドバ、70キロのスクレ地域だそう。単純な人口増加(食料需要の高まり)と経済発展(収入が増えたことで、消費者の購入意欲の増進)がその裏にはありそうです。あとは矛盾するようですが、まだパスタやパンなどの主食よりもコメを中心とした献立が多い食文化も影響している模様。


いうまでもなく、乾燥した状態での米は長期間保存が可能であり、緊急時の備蓄食料として適しています。自然災害や食糧不足が発生した際に迅速かつ安定した食糧供給が可能なことから食糧の安全保障という観点からも生産・消費を強化したい作物ではある(コロンビアでは小麦は輸入に依存)。コメの安定した生産と流通は食糧価格の安定にも寄与し、社会の経済的安定性を支える要素となりうることから、政府はこれまで以上に消費促進をうたっていくと予測されます。数年後には50㎏突破も確実とみています。

コロンビア農地の謎 一戸あたりの経営耕地面積の70%が5ヘクタール未満

日本はあっという間にお盆休みも終わった頃と思いますが、コロンビアの8月は凧揚げの季節。夏休み終盤の子どもたち(学期区分は8月~6月迄のCalendario B, 2月~12月迄のCalendario Aと分かれていますが、筆者の居住地はCalendario Bが主流)が大きな公園で楽しんでいます。約3か月の宿題もない長い長い夏休み。もちろん学童なんて便利な公共サービスもないためすべての親が旅行を組んだり、託児所の夏休みプログラムに申し込んだり日中の仕事時間を確保するための涙ぐましい努力・・・。

我が家も例にもれず、「子育ては外注せよ」のモットーに則り、車で10分の私立幼稚園に預かりをお願い。給食がついてるのが最高! (日本のお母さんたちほんとうにお疲れ様です。そして日頃母のお弁当に慣れ切っている子供たち。あれだけ豆がまずい、ジュースが酸っぱいと騒いでいたのに、あっという間においしいとなる子どもの舌の単純さよ)


 さて、本題。当地経済紙アグロネゴシオ(2024年8月19日付)によると、当地の農業1戸当たりの経営耕地面積の70%が、全国平均で5ヘクタール以下であることがわかりました(日本は同1.43ヘクタール。JA)。詳しくUPA統計をみると、1戸あたり1ヘクタール未満が計42万6,676ヘクタールで38.6%を占め、次いで10ヘクタール以上50ヘクタール未満が計21万8,587ヘクタールで全体の13.1%。1,000ヘクタール以上の経営耕地は2,491ヘクタールでわずか0.1%となるそうです。


この測定結果は、国勢調査や土地登録と合わせて、コロンビアの農地所有が不平等な状況におかれているともいえます。
なぜかというと、当地ではゲリラと政府との内戦の影響で農民が土地を追われた事実があり、4年毎に更新される【国家開発計画2022-2026】にも農地活用が第一アプローチとして掲げられており農地の再分配政策を決定する上でのファクターとなるから。
国家開発基金(Fedesarrollo)の報告書によると、アンデス地域、カリブ海、太平洋、オリノコ、アマゾン地域のうち、農地はアンデス地域(75.1%)と太平洋(86.3%)に集中しています。加えてそのうち70%以上が5ヘクタール未満で、10ヘクタール~50ヘクタールが13%~15%を占め、予想していたより小さい農地が数多く存在していることがわかります。


作物別でみると、当地の輸出作物(コーヒー、ヤシ、カカオ、アボカド)、輸入も盛んな作物(コメ、トウモロコシ、小麦)、非貿易作物(ジャガイモ、バナナ、キャッサバ)を含む選択された作物は最大50ヘクタールの耕地で栽培されているそう。特にジャガイモ、バナナ、サトウキビ、トウモロコシ、アボカド、小麦の場合5ヘクタールまでの耕地で栽培されているケースが作物全体の約60%以上を占めています(キャッサバ、コメ、ヤシ、サトウキビ、パイナップルでは、5~100ヘクタールの耕地での栽培が全体の過半数)。


生産品目数を絞ってブラジルのように大規模プランテーションを実践すれば、機械農業の恩恵を受けて大量生産も夢ではないでしょう。でも、5ヘクタール以下という小さな農地で多品目栽培すれば、高付加価値化やリスク分散では決してマイナスではない…と私は思います。

大規模プランテーションを構えて帰還民をコカ作物ではなくコメ、大豆等の代替作物に切り替えて輸出強化をはかりたい政府の思惑も理解しますが、今ある小規模耕地で下請けのように働いている生産者に対し、流通網を分散するシステムや高付加農法の手法、売り先の開拓にしても大口取引先を持たずに取引先と直接やりとりできるプラットフォームの構築など、こちらに舵を切ってほしいと思います(もちろん私もやるけどね)。


5ヘクタール以下の耕地がたくさんあるって、大きな可能性ですよね。もっと、コロンビアの野菜とフルーツの品質を底上げしていかなくては!

コロンビア農業 ラニーニャ現象を前に非認証種子の利用に警鐘

メールが急に穏やかと思ったら、日本はもうお盆休みですね。毎年仕事がぐんと楽になるこの時期に旅行を組むことが多かったですが、今年は諸事情によりカリで仕事! COP 16も近いし、来年の日本一時帰国をニンジンにして乗り切る夏です。

さてコロンビア、ラニーニャを前にその影響が次々と叫ばれています。

当地経済紙アグロネゴシオ(2024年8月11日付)によると、コロンビア農牧院(ICA)と全国種子協会(Acosemillas)は、生産者、栽培者、取引業者に対し、雨季の予防措置だけでなく、非認証種子(未認可の種子や適切な認証を受けていない種子)の使用をとりやめるよう、緊急の呼びかけを行っています。


一般的に "袋種子 "として知られる無認可種子の使用は、コロンビアでもともと問題となっている一方、国内で認証種子の規定をもつのは、稲、トウモロコシ、綿花、ジャガイモ、ソルガム、エンドウ豆、オート麦、大麦、小麦、大豆、ゴマ、落花生、キャッサバ、豆類、柑橘類の15種のみ。稲作でも過半数以上が非認証種子を利用しているとみられており、ICAによって評価・承認された種子を購入することのハードルの高さ(費用面、手に入らない供給面、配送ができない地理的制約面など)に頭を悩ませてきました。


 しかし、ラニーニャ現象が確実される現在非認証種子の利用は病害虫抵抗性にも悪影響を及ぼし、食糧安全保障と農家の収入を危険にさらす可能性があり、政府は改めて認証種子の重要性をアピールしたい模様。
特にトウモロコシ、稲、大豆、綿花などの季節作物に依存している農家に対して強く、認証種子の利用を求めるそう。

ただ、個人的には農家が認証種子の存在やその利点について十分な情報を持っていないことが問題という気がしています。認証種子を購入する選択肢を知らない、またはその重要性を理解していない単なる情報不足・・・。コロンビア人生産者と接していると、「HOWはわかってるけど、WHYがまだわからないのかな」と寂しくなることもあるのですが、種子の利用に関しても「なぜ高いお金を払って認証種子を買う必要があるのか、豪雨が続いたときに非認証種子だとどうして損失が大きくなる可能性が高いのか」をじっくり膝を突き合わせて話していく必要がありそうです。

コロンビア チリ向けの動物性副産物輸出キックオフへ

畜産大国コロンビア、何度も言いますが本当にこの国のお肉はおいしい。

シャトーブリアンなど希少部位も日本では信じられない値段で食べられますし、安い肉をただ焼いて塩で味つけするだけでも、口に入れた瞬間エネルギーが体に充填されるほど。本当におすすめ!


そんな中、チリの農業畜産局(SAC)は、コロンビア産動物性副産物の輸入の承認を発表しました。動物性副産物とは、食肉処理やその他の動物からの製品製造過程で得られる主要製品以外の動物由来の素材。例として以下をあげます。


内臓: 肝臓、心臓、腎臓、胃、腸など。
骨: 食肉処理後に残る骨。
血液: 食肉処理の際に得られる血液。
皮・毛皮: 皮革や毛皮産業で利用される素材。
脂肪: ラード等。
角や蹄(ひづめ): 一部の産業で使用。


つまり、食品として消費されることもあれば、ペットフード、医薬品、化粧品、肥料、飼料、工業用製品など多様な用途が考えられる素材。
コロンビア農牧庁(ICA)によると、2023年当地では5,645トンのコラーゲンとゼラチンがドイツ、ブラジル、カナダ、米国、韓国などの国々に輸出されました(2024年8月4日当地経済紙アグロネゴシオ)。2024年現在ではすでに2,406トンが輸出されているので、決して小さくないビジネスですね。


チリ向けには、コラーゲン、ゼラチン、加水分解タンパク質、油脂が主な輸出品目となるとのこと。コラーゲンの用途として、食品ではサプリメント、ヨーグルト、プロテインドリンク、家畜飼料、美容では保湿クリームはローション、フェイスマスクが考えられますね。また軟骨再生や美容整形(例:フィラー)にも利用されるので、美容整形にも使えます。


ゼラチンは主にゼリー、グミキャンディ、マシュマロなどの製菓製品、デザートや乳製品の凝固剤、安定剤、増粘剤…。医薬品ではカプセルの外殻材料、工業用途では写真フィルムや感光材料のコーティング剤として利用も可能なんだとか(意外に幅広い!)。


今回のキックオフも、両国間での衛生協定の要件策定、合意が大きな鍵でした。ただ輸出拡大をうたうコロンビアとしては、畜産部門と国際競争力獲得のための重要なコミットメントの一つでもあります。
畜産の副産物輸出。これが当地の生産、加工、マーケティングの面でさまざまな革新が生まれると予測しています。

揺れるコメ業界 政府が播種面積と貯蔵量を監視し、余剰状況を監視へ背景には生産者の怒りか

一人あたりのコメ消費量が日本を超えて43.2kg (2021年、Fedearroz)を記録する当地。人口も5,000万人を突破し、それだけの胃袋を支えるコメの生産量強化・競争力獲得へ動いています。そんな中、農業開発省によると2024年7月30日(火)に今年度後半のコメ余剰状況調査結果が発表されることになりました(変数: 年間生産量、今年度半期生産量、一人当たりの消費量などが分析の対象)。


あわせて、コメのディストリビューション改善のため9つのプログラムを含む生産的管理計画(POP)も公表。播種面積の無秩序な拡大が回避され、環境にやさしいコメ作りの実現を目指すとのこと(投資規模は2023年7月から12月までで7億3,000万ペソ、2024年実施財源11億1,200万ペソ)。農業開発省として、生産者の状況改善の一手としたい意向です。


というのも、生産者のロビー活動が最近目立っているのです。国内に9つあるコメ生産者団体が、精米業者からコメ買取価格(コメ生産地イバゲ県の精米業者平均買取価格200.000ペソ/125kg)が下落傾向にあることを危惧しており、2024年前半の高温警報によって収量減につながったことを理由に、生産者に対するインセンティブ強化を要請しています。その一つとして挙げられるのが収穫貯蔵金。

そのメリットとして、
①需要と供給のバランス:
需要が低い時期には貯蔵し、需要が高まる時期に出荷できる。供給不足や過剰供給を防ぐ。②価格安定:
市場に出回るコメの量を調整することで、価格の急激な変動を防ぐ。
③生産者の経済的安定:
生産者が収穫直後にコメを売ることなく、適切なタイミングで市場に出荷し、収入の増加や安定が期待できる。
生産者が長期的な視野で農業経営を行うためには、どのような持続可能な農業を実施していくべきなのか。政府と生産者のにらみ合いが続いています。

個人的には、政府ありきのコメ作りよりも、精米所ありきの販売よりも、もっと消費者と生産者の顔の見える農業を目指したい。自分達でライスセンターを導入したり、パッキングにこだわったり、直接販売ができるようなディストリビューションを実現したいと思っています。

ラニーニャ警報広がるコロンビア 播種面積のほぼ30%に雨の脅威か

さて、昨日7月20日はコロンビアの独立記念日でした! 思い出すなぁ、こちらに来たばかりの10年以上前、懐かしのボゴタハベリアナ大学前の地場銀行バンコロンビアで初めて口座を開設したときの暗証番号をまさにこの独立記念日にしたんだった(私はだいたい好きな国のキーワードの西暦や数字をパスワードにする)。それが到着後一か月でバスの中ですられて、すーぐブロックするはめに・・・。あ~懐かしい思い出、あのとき電話してくれたルームメイト元気かなぁ。

カリはこの上ない晴天で、陸海空軍のパレードも見ごたえばっちりでした!(今年は直接見に行かずYouTubeで拝見)。

さて、話変わってまたか…のニュース。本日、国家危機管理ユニット(UNGRD)は、ラニーニャ現象の対応計画を発表しました。雨季と乾季が綺麗に数か月ずつ入れ替わるはずの当地でも、気候変動により本来降るはずのない時期に降ったり、昨年の稲作案件でも雨には相当やられました。そして今年に入るとほぼ降らない。

さて、詳しい見通しは以下の通り。

①大規模な雨季が8月~9月に始まり、被害額は最大200億ドルにのぼる。

②2,600件以上の緊急事態を通知する可能性がある。

③9-11月期には、全国農業用地の24%と5%が、それぞれ「低」・「中」の危険度に分類される見込み。

④農村・農業計画ユニット(Unidad de Planeación Rural y Agropecuaria)の6月の農業気候報告書によると、6月~8月において、農業牧畜地域の25%が過剰豪雨の危険度「低」となり、国内北部と中央部が特に要注意地域とされる。

元々、6月~8月は特にアンデス地域とカリブ海東部地域で降水量の少ない季節であるはずですが最近はほぼ毎年雨季。7月~9月にかけて65%の確率で豪雨のようです。天気予報という形の予防策ももちろん有効だけれど、農業用アプリがもっと普及して「1週間後から雨なのでそこまでこの作業を進めましょう」といった栽培計画のフォロー、サポートができればと思います。普及するためにはそもそも、対象地域の圃場でのネット環境の脆弱性など問題もあるわけですが、より可視化してラニーニャを乗り越えられますように・・・。随時見守っていきます!

フィケ繊維、知ってますか?

サッカー好きな人はピケはご存じとは思いますが、今回紹介したいのかフィケ(FIQUE)! 

コロンビアに自生する天然植物の繊維で、元はリュウゼツラン科の多肉植物。その強度と耐久性(ロープや紐の材料として広く使用されいるほか、農業用袋としてもポピュラー)、そして自然分解性(環境にやさしい天然繊維で、自然分解可能)で知られています。コロンビア版ジュート(バングラディシュ)と言えばわかりやすいでしょうか、編み物、カーペット、ランチョンマット、リュックサック、様々な種類の手工芸品等にも多用されていてバッグでも知られています。でも言わせてもらえば、買いたいと思えるバッグはほとんどない。誰かコロンビアの山口絵里子はおらんのかと吠えたいほど、どれもこれも代わり映えのしない製品が多く、お土産や人へのプレゼントでもほとんど買ったことはありません(私の定番はタグアアクセサリー)。ちなみに現在、当地では1万7,370トンのフィケが生産されているんだとか(当地経済紙アグロネゴシオ2024年7月18日木曜日付)。


 そんな中、7月7日農業開発省によると環境にやさしい農業実現というミッションの中で、コロンビアの約7万世帯の農業世帯向けにフィケ繊維の加工販売への奨励措置が発表されたそう。プラスチックや石油化学製品への依存を減らし、バイオガスや堆肥、有機肥料などの生産にも役立つとの意向を表明しました。


声明の中で強調されたことは、①フィケが分解性に優れ、堆肥化可能な繊維であること、②生ものはじめ用途を問わず様々な製品の包装用資材への加工に期待しているという点。確かに、エコフレンドリーで加工用途の広いフィケ。

織り方によって現代的にも伝統的なデザインにもなるし、カウカ県、ナリーニョ県、サンタンデール県、ラ・グアヒラ県、カルダス県、ボヤカ県などの小規模生産者はこの施策によって予算拠出が出ると思われます。フィケのデザインアイデアで、織物専門家の招聘セミナーや講義、協力隊の派遣など、日本との関わりも増えるかもしれないなぁ・・・と記事を読みつつ独り言ちた午後なのでした。

コロンビアのコーヒー収穫プロセス効率化の道とは?

仕事柄コロンビアのコーヒー農園を訪れた経験は何度もあります。ぬかるんだ山道を陸路で数時間…(そう、コーヒーは寒暖差と雨量が必要なため、車一台通のがやっとの獣道の先にあるのです)、本当にこんなところに世界有数のコーヒーがあるのか、と気が遠くなった瞬間に現れる農園。観光農園なんて皆無なので(特にバジェ県)、農家さんとゆっくり話しながら、コーヒーをいただきながら拝見するアラビカ種(当地は Típica, Borbón, Maragogype, Tabi, Caturra, Colombiaという6種類を栽培)の味は格別。最近はTabi種が流行しているようで、着手する新規農家さんが多い印象です。


精製処理は主に水洗式で、たくさんの水を使って粘液を取りこぼさず何度も水を変えながら洗います。アンデス山脈お膝元の当地、水の豊富さとおいしさはお墨付きなので、たくさんの人の手を使いながら何度も洗って精製…気が遠くなるプロセスです(いや、ほんとに見ていてびっくりする工程の多さ。一杯のコーヒーって値段安いわ).


そんな中いつも話題にのぼるのは機械化の今後について。機械が入らないというシンプルな理由と、手摘みのほうがイメージがいい…というぶっちゃけた下心もあって、コーヒー部門はとにかく機械化に踏み切れない。でも現場の声としては、特に収穫でかがんだり何時間もかごを背負って数キロの豆の収穫となるとやってられないのも正直な声。機械式ポンプ、ドローン、アプリ(あんな辺鄙な場所でしたが、アンテナを張ってぎりぎり携帯は作動していた)は、どのくらい浸透しているのか?


現場も手をこまねいているわけではなく、ウイラ県などのコーヒー地帯では種子から粘液を取り除く脱液工程において、脱液機(パルパーで処理された後、粘液を取り除くための機械)の使用が拡大しており水を使用して粘液を洗い流すか、機械的な摩擦で粘液を取り除く方法が挙げられます(エコプルパーやベクパルパー)。スピードアップするだけでなく、節水やコーヒーの品質向上にもつながるんだとか。


また、発酵洗浄では、ポンプを使用することで種子に付着したハチミツを除去する工程がスピードアップし、これが今後全国的に標準化される方針とも伺いました。最後に乾燥工程では、ファンを利用して温度を変化させながら気流を送り出し、スピードアップに貢献しているんだとか。


また、一部農園ではドローンが導入され農薬散布に利用している・・・。


うーん、はっきり言ってまだまだ! 私が見ていて一番機械化が待たれるのは収穫。ベトナムやブラジルの大規模プランテーションで導入されているような、ストリップハーベスター(コーヒーの枝を一度に揺らし、チェリーを一斉に落とすマシーン)、選択的収穫機(色や熟度センサーを使用して、熟したチェリーのみを選んで収穫)に似た、コロンビア仕様の小型機械があればどんなにいいだろう。導入にあたり壁は多いけど、手持ち型のハンドヘルドメカニカルハーベスターも最近よく聞かれるので、そっちが入手しやすいかもしれない・・・などと考えています。


同様に、作物やコーヒー豆を監視するためのアプリケーションは、ポストハーベスト処理段階の管理、作業のスケジュール管理、天候の把握、コーヒー価格の参照などですでに始まっていますが、いかんせんネット環境にないところもおおくこちらもゆっくりと進んでいる様子。


FNCによると2024年上半期の生産量は全国で計582万袋で、2023年同期比で16%増加した。同様に、輸出量も前年比15%増の574万袋となっており、今後もコーヒー機械化という命題にどう取り組むのか、注視が必要です!

新たな系統分類群により、コロンビアのトウモロコシ品種が23種→42種に拡大中

トウモロコシ(学名Zea mays)の主な分類方法として、穀粒の形状や利用目的に基づき①デントコーン(Dent Corn)、②フリントコーン(Flint Corn)、③スイートコーン(Sweet Corn)等、地域や気候条件に応じて選ばれることが多い(日本では約7品種)。
一方、コロンビアをみると当地経済紙(Agronegocio, 2024年7月4日付)によれば、
分類の歴史は1950年代までさかのぼり、当時23品種を次の3つの主要カテゴリーに分類した。


(i)「原始品種」:背が低く、早熟で穀物が小さい。
(ii)「外来種」:トウモロコシは中央アメリカが原産地とされる。様々な気候条件に適応できるため、15世紀以降中米から持ち込まれた。
(iii)「コロンビア固有種」。


1950年以降ほぼ変化のなかったトウモロコシの分類だが、2007年国立コロンビア大学(パルミラ市)の新熱帯適性遺伝資源研究グループがICAの支援を受けて当地のトウモロコシ品種を再調査し、その品種の多さと遺伝的多様性の変化を評価するとともに、その栽培に関連する伝統的農法の保存を行った。


加えて、同年メキシコのCimmyt Germplasm Bankで保管されていた66品種を受領し、当初記載された23品種のうち22品種を回収。生物学的コレクションの統合という意義に加え、コロンビアの全品種を網羅したわけではないものの多くの科学的論文の発表につながった。


そして、この調査以降コロンビアに存在するトウモロコシの品種の数は23品種から42品種に増え、"コロンビア雑種 "と呼ばれる第4のカテゴリーを提案につながった。彼らは地理情報システムを使って最初のコレクションがあった地域をマッピングし、土地利用や都市化の変化に合わせて検索を調整(現在もトウモロコシが栽培され、伝統的な農法が維持されている農村地域や保全地域に焦点を当てた)。
現在、42のトウモロコシ品種は同大パルミラの生物学研究所に保管されている。次なる手順は、記載された全品種の形態学的・分子生物学的特性評価を継続することとされる。

はちみつ1トンには最大約1,800万ドルの価値!? コロンビア最新はちみつ輸出事情とは

当地経済紙Agronegocio(2024年6月26日水曜日付)によると、2022年コロンビアは金額ベース3万8900ドル相当のはちみつを輸出し、世界的には第108位にランキングしています。当地で生活していると一般農家が養蜂を始め販売していることは珍しくなく、農家を訪問するとお土産代わりにほぼ必ず持たされる、はちみつ。むしろ南米共通の一村一品活動のお家芸ともいえる製品でどこに行っても「この村でとれたはちみつです」と試食をお願いされることが多々。もちろん大喜びでいただいて、ホットケーキにかけて食べてます。土の滋味が伝わる、なぜかサーターアンダギーが食べたくなる味です(個人の感想)。

それでも一般的なはちみつ生産地域は主に中央部クンディナマルカ県、同ボヤカ県、北西部アンティオキア県とされ、これらの地域が牽引することによって2022年のはちみつ生産量は約3,000トンに達しました(国の輸出品目全体では第948位)。中国のような大国に比べて生産量は控えめですが、輸出自体は増加しており、欧州と北米が主要売り手市場となっています。しかし、まだまだ輸出国としてはマイナーなコロンビア、国際規制に則ったコンタミを防ぐ方法などの課題に直面しています。自己洗浄式のストレーナーや高温対応のろ過機、そして流量の大きいストレーナーと自動ろ過機等の技術はまだ普及していないから。

コロンビア政府とさまざまな団体は、地元の養蜂家を支援するほか、養蜂プロトコールを改善し、世界市場でコロンビア産はちみつをプロモーションするための準備を始めたとか。最新の養蜂技術トレーニング、持続可能性プログラムの開発、国際展示会での広報活動が含まれています。個人的にはせっかくの生物多様性の国、ハヌカハニー等新種の花を使った目新しい密の開発をお願いしたいところ(ていうか、やっちゃう!?)。

ここで世界の潮流をみると、はちみつビジネスは、自然で健康的な製品に対する需要の高まりによって世界中で数十億ドル規模の産業となっています。 2022 年世界のはちみつ市場は約97億9,000万米ドル。、2028 年までの年間複合成長率 CAGR は 6.3% と予測。主要な蜂蜜生産国には中国、トルコ、イラン、米国が含まれ、中国は年間55万トン以上を以て世界の生産量をリードする存在。
さらに、食品、化粧品、製薬業界におけるはちみつの使用は大幅に増加しています。輸出も重要な役割を果たしており、ニュージーランドやオーストラリアなどの国は、高品質で薬効があるとして高く評価されているマヌカハニーを大量に輸出し、日本でもメジャーになりました。
中南米をみると、アルゼンチンは地域最大のはちみつ生産国であり、2022年の生産量は約7万5,000トン(特にパンパ地方のはちみつが有名)。またメキシコも2022年の年間生産量は約6万1,000トンに達し、コロンビアにとっては強敵です。
うーん、調べれば調べるほどコロンビアにしか生息しない花蜜によるはちみつ生産で世界輸出にくいこんでいくのが面白いのでは、と思いますが手間や長期戦を思うと農家さんも腰が重いのかもしれません。「迷ったらアホな方」がモットーの私ですが、一緒にやろうと言われればお手伝いする気は満々。とりあえず、情勢を注視しつつ面白そうな花蜜を見つけたら、声をかけてみようかな。日本からもアドバイスあればよろしくお願いいたします!

コロンビア 環境負荷の少ない科学肥料の導入状況とは?

欧州グリーンディール(European Green Deal、EUが主導する持続可能な経済成長戦略)の影響により、「農場から食卓まで」戦略(Farm to Fork Strategy)の観点から農業の環境負荷低減に注目が集まっています。


コロンビアではまだ伝統的農法(アプリを使用したスマート農業の普及は未だ進んでいない)が主流となっているものの、より持続可能な方法への移行にはさすがに関心が強くなっています(ちょっとディスってる? そんなことありません)。


そんな中、最新の現状は? 

例えば、世界に所在する80万ヘクタールを超えるコーヒー栽培面積のうち、CO2排出量の少ない肥料(有機肥料、バイオベース肥料、緑肥作物、循環型肥料、スマート肥料等)を使用しているのはわずか33%にすぎません。


一方コロンビアでは、CO2排出量の少ない同肥料の使用が進んでおり、コーヒーに限ればウイラ県の41%、次いでアンティオキア県の34%、サンタンデール県の59%、カウカ県の28%、トリマ県の22%、ナリーニョ県の63%、カルダス県の28%、リサラルダ県の32%が動植物由来の有機物を原料とした有機肥料(堆肥等)の普及が明らかになっています(当地経済紙Portafolio,2024年6月20日付)。

いうまでもなく、コロンビアにおけるカーボンフットプリントの削減並びに国際社会に向けたアピールになるほか、こうした環境負荷の低い肥料の使用は土壌保護と同義となり、持続可能な農業の実現に近づきます。

一方、こうした肥料を使う現時点のデメリットは生産性となります。


当地のコーヒー生産量は1ヘクタールあたり平均990キロだが、理想はこれの10倍以上となります。そのためには土壌の栄養状態や気候ニュートラルに適した肥料を使用する必要がある一方、コーヒー生産の関係当局は、コーヒー作物の施肥量や栄養状態が著しく低いことに懸念を表明しており、環境負荷の低減された肥料と生産性向上のジレンマに揺れていることも浮き彫りとなっています。肥沃度の向上ではスマート農業が欠かせないため、新たな技術を導入しながら長期的な視点で土壌と環境の健康を維持することが重要となります。

コロンビア 輸出減少が続く中エキゾチック・フルーツが健闘

当地経済紙Portafolio紙(2024年5月9日付)によると、当地の輸出は金額ベースで今年3月までに9.4%減少(112億6,290万米ドル)となっており、依然としてマイナスの成長を示しているが、エキゾチックフルーツの対外輸出は安定して好調であることがわかった。


DANEデータによると、2024年1月~3月期間において代表品目のパッションフルーツ(gulupa)の輸出高は前年比8.4%増の1,290万米ドルで伸びており、食用ほおずき(ウチュヴァ)は2023年1月~3月期間で1,140万米ドルに対し、2024年同10.52%増加し、1,260万米ドルの売上を記録した。一方パッションフルーツは2023年に輸出が1.9%微減した経緯があり(2022年4,860万米ドルに対し2023年4,770万米ドル。数量ベースでは前年比6.5%減少)、インフレが影響したとみられる。


また、パッションフルーツの海外向け売価は2021年1キロあたり3.63米ドルで輸出されたが、2022年以降現時点まで1キロあたり2.8米ドルで落ち着いており、フルーツ農家は生産コストの減少が近々の課題となっている。
DANEによると、2023年農産物の輸出額が25億7,350万米ドルであった。