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当地全国酪農協会によると、コロンビアの2023年生乳生産量は前年比4.27%減の70億9,
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日本でも少しずつ認知されてきた昆虫食。昆虫プロテインバー、昆虫パウダーを使用したパンやパス
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当地全国水産養殖連盟(Fedeacua)によると、漁業・養殖業の生産量が20万トンを突破し
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2024年5月発表されたコロンビア酪農協会(Fedegan)の統計によると、今年1月~4月
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当地経済紙アグロネゴシオ(2024年5月8日水曜日付)によると、エクアドル・グアテマラ・フ
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2024年4月25日ICA(コロンビア農牧庁)発表によると、乳牛の高病原性鳥インフルエンザ
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農業国として内外にアピールしたいコロンビアにとって長年の頭痛の種は違法種子の使用であり、種
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コロンビア植物防疫庁(ICA)によると、コロンビア国内には60社以上による乾燥大麻が合法的
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2024年4月、当地北東部セサル県(ベネズエラと国境を接する。人口約110万人)において、
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世界中でカカオ高騰が深刻となっています。 西アフリカを中心に気候変動や病害虫からくる不作か
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今回訪問する機会を得たボリビア(サンタクルス県、サンフアン、オキナワ)では、フードバリュー
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2023年10月、ボリビアのサンタクルス県に所在するガブリエル・レネ・モレノ国立自治大学の
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農業研究、開発、実証、技術普及及びコンサルティングサービス事業を行う農匠ナビ(本社 滋賀県
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当地経済紙Agronegocio紙(2024年2月22日木曜日付)によると、コロンビアのア
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コロンビア 中南米の国別生乳生産量ランキングの4位に躍り出る

当地全国酪農協会によると、コロンビアの2023年生乳生産量は前年比4.27%減の70億9,700万リットルにとどまったものの、生産量ベースでみるとブラジル、メキシコ、アルゼンチンに次いで第4位となったことがわかった。コロンビアの酪農面積は2,800万ヘクタールで、国の農業用地の60%以上に相当するという(当地経済紙アグロネゴシオ2024年6月5日付)。


地域別にみると、北西部アンティオキア県(20.3%)、首都ボゴタを包括する中央部クンディナマルカ県(14.1%)、南部カケタ県(8.3%)、北部カリブ地域コルドバ県(6.2%)、北東部ボヤカ県(6%)に分散している。


一方、以前から警鐘を鳴らしているように国内消費量は減少の一途である。コロンビアは、国際FAOが推奨する消費量を19リットル下回り、一人当たりの消費量は2022年の153リットル/年から2023年には152リットル/年に若干減少し、供給に余剰が生じている。
2022年、コロンビアの総生乳生産量は世界第28位、牛1頭当たりの乳量は世界第86位であった。生乳加工品の主な輸出用加工品は粉乳(79.6%)で、輸出先はベネズエラ(65.5%)が第一位であった。


2024年第1四半期には2023年の年間粉乳輸出の84.0%が輸出され、2023年前年比7.7%の伸び率であった。輸出量ベースでは5,084トンにのぼり、金額をみると約2,200万米ドルとなる。


2024年第1四半期の輸入は、前年同期比で28.3%減少した。これは前年と比較して数量ベースマイナス0.5%、金額ではマイナス14.7%に相当する。7万2,223トンが輸入(金額ベース約2億3,590万ドル)となり、最も多く輸入されたのは粉ミルク(品目全体の99.9%)で、主な輸入相手国はアメリカ、ボリビアが続いた。


コラム: こちらの酪農製品は、おいしいっ!!! コロンビアのチーズは文句のつけようのないおいしさで、郊外に出るとよく道中に「Queso de Campo(田舎のチーズ)」ののぼりがかかっているほど。子ども向け牧場にもチーズ体験があって、そこで販売されてたチーズも目を剥くほどおいしかったなー。
ボゴタを30分ほど出るとSopoという小さな町があるのだけど、そこに国内最大手の酪農企業Alpinaの直営デザート店もあって、そこの生菓子も絶品だったな。いつか、コロンビアデザートフェスでもやるか!

<コラム>コロンビア 北東部サンタンデール県で推進される「蟻からつくる塩」のビジネス可能性

日本でも少しずつ認知されてきた昆虫食。昆虫プロテインバー、昆虫パウダーを使用したパンやパスタ、昆虫スナック(フライやロースト)なども販売されるようになってきました。南米では従来、先住民を中心に昆虫(特にバッタ)食することが多かったのですが、当地北東部のサンタンデール県では、蟻が中心。収穫したクロナアリ(Formica fusca)をロースト(オーブンを150°Cに予熱し、アリを天板に広げて約10〜15分間)・もしくはフライ(フライパンでカリカリになるまで揚げ続け、塩やスパイスを振りかける)して食べます。
地域の食産業を支える昆虫食であるものの、クロナアリは季節産物(4月から6月のみ)であるため安定的な供給は意外と難しい。昆虫ビジネスも「いかに加工して出すか?」にシフト。そこで目をつけたのが「塩」です。
昆虫から塩をつくるとは、「海水を蒸発させて得るもの」という固定観念からすると奇想天外な気がしますが、メキシコの現地食からヒントを得てサンタンデール県の地場企業”サリス”が着手したアイデアだそう。ガレラザンバ海塩と、乾燥させて職人がローストした自家製蟻の厳選された塩はそうして誕生しました。テキーラやミチェラーダ等お酒と合う塩を目指しており、すでにパナマと米国で販売開始したそう(なぜコロンビアでの認知度はほぼゼロなのか?)
どちらにしても、機会があれば「蟻の塩」、試食してみようと思います! 新しいアイデアはわくわくしますね。

コロンビアの漁業・養殖業の生産量が増加 ティラピアやニジマスが米国輸出に存在感

当地全国水産養殖連盟(Fedeacua)によると、漁業・養殖業の生産量が20万トンを突破し、2015年~2022年の間に193%の累積成長を遂げたことがわかった。


2023年、コロンビアは生産量ベース約 1万9,000 トンのティラピア(淡水魚)とマスを輸出しており、金額ベース(FOB)で 前年比39%の伸びを示したことになる。


ティラピアは基本的に養殖されており、24°C〜30°Cの水温で配合飼料を与えながら養殖し、半年を過ぎれば収穫できるサイズとなる(私も一度視察したことありますが、意外に単純な設備で驚きました。世界中で簡単にティラピア養殖は導入可能と聞いてましたが、本当にその通り。水槽とホース、餌と定期的な薬餌があれば、できる)。

Fedeacuaによると、コロンビアの養殖セクターの58%を占めており、米国に流通する冷蔵ティラピアの43%を占めている(前年比 30%増、Fedeacua統計)。
ニジマスも主要輸出産品に数えられる。淡泊な味でコロンビアのニジマスは味にくせがない。2022年1,700トンのマスが輸出され、前年比14%の成長を示した。金額ベース(FOB)では 25%増の1,460万米ドルと、歴史的な記録となった。


Fedeacuaは、コロンビアの水産養殖が安全で高品質で持続可能な製品が出荷されていることを証明するBAP、ASC、GlobalGapなどの認証を強化している。
衛生協定を締結した世界21カ国で、コロンビア産の水産魚が流通しているという(日本は含まず)。

コロンビア 酪農家の減収に対し乳価上昇はなぜ起こるのか?

2024年5月発表されたコロンビア酪農協会(Fedegan)の統計によると、今年1月~4月にかけて牛乳の最終価格は1%、チーズは同2.7%上昇している。一方、酪農家は13カ月連続で販売価格を引き下げており、インフレ(特に資材)が最終小売価格を圧迫している事実が浮き彫りになった。


1.生産者価格と消費者価格のギャップの理由は何か?
当地で牛乳の最終価格を決定する要因は以下の通り。
①基準価格。Fedeganが決定。下限であり、この数字を下回ることはない。
②工場価格。市場に出回る前の加工時の価格であり、最終小売価格の一歩手前。
③最終小売価格。一般的なディストリビューションにのせられたもので、仕入れ価格の約3割増しが一般的。


2.何が価格を高く維持しているのか?
酪農家はすでに13ヶ月間、基準価格を下げ続けているものの加工の現場での資材インフラ上昇に歯止めがかかっていない。

主な必要資材は以下の通り。

飼料: 牧草、飼料用穀物、飼料用添加物。

飼育設備: 牛舎やヤギ小屋。エサや水を供給するための設備や、乳搾り機器なども含まれる。

健康管理用品: 動物の健康管理や疾病予防のための医薬品、ワクチン、消毒薬。

乳製品加工設備: 乳を加工して乳製品(チーズ、バター、ヨーグルトなど)を製造するための機器や設備。

管理用具: 酪農業務を効率的に行うための道具や器具、作業着など。

またFedeganが自覚していることに、畜産業界とは異なる傾向として乳製品業界では消費や生産に関する広報活動を実施しておらず、消費者にとって「どうして乳製品はこんなに高く感じるのか」といった、認知されるマーケティングがまったくないという。
3.ラニーニャ現象
最後に、雨の多いラニーニャ現象の懸念が指摘される。雨により牧草が急速に成長し、それに伴い生乳が増産すれば供給過多となり基準価格がまた下がる傾向になる。
酪農家の試練はまだ続くとみられ、Fedeganを始め政府の補助政策が待たれる。

コロンビア 下降したバナナ輸出の回復に向け取り組みが本格化だが課題は山積

当地経済紙アグロネゴシオ(2024年5月8日水曜日付)によると、エクアドル・グアテマラ・フィリピン・コスタリカに次ぐ世界第5位の輸出国であるコロンビアは、2023年のバナナ栽培面積を5万3,000ヘクタールに拡大したほか、バナナ輸出の5%増を目指し、輸出回復の準備を進めている。

コロンビアにとってバナナはコーヒー、花卉に次ぐ第三の農産物輸出品目であり、5万人の直接雇用がある。昨年の主な輸出先は、EU諸国が66%、米国が17%、英国が14%であった。


南米諸国は昨年、バナナを生産量ベースで1億550万箱(1箱あたり20キロ)輸出しているが、2022年の1億810万箱から2.3%減少している(金額ベースでは2023年輸出総額は9億6,910万ドルで、2022年の8億9,180万米ドルから8.7%増加)。


1ヘクタールあたりの生産量は2022年2,026箱であったが、これは生産地(主に北西部アンティオキア県)での降雨量が増加したことと、ブラックシガトガ病(バナナの葉が黒く変色し、収穫量が半減する病害虫)が流行したためである。


一方、もう一つの懸念はパナマ病である。この真菌は、フサリウム属の真菌Fusarium oxysporum f. sp. cubense(Foc)で、その中でもTR4(tropical race 4)という熱帯地域のキャベンディッシュというバナナ品種を宿主とするレース(特定の品種に対して病原性を示す病原体)が2019年にラ・グアヒラ県で確認されている。コロンビアは封じこめに成功したと主張しているが(ICAによると被害を受けた農園のほとんどのバナナの株を処分した)、TR4は約30年は土壌中にとどまり得る可能性があるという。


また、ラニーニャ現象に伴い主要生産地で発生している洪水も悩みの種だ。農作物を加害する細菌または植物病原体の増加が指摘されており、輸出増の達成は単純ではないと想定される。

コロンビア 米国の8つの州からの牛肉の輸入を停止 鳥インフルエンザ感染拡大の影響

2024年4月25日ICA(コロンビア農牧庁)発表によると、乳牛の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)感染が確認された米国の8つの州(アイダホ州、カンザス州、ミシガン州、ニューメキシコ州、ノースカロライナ州、オハイオ州、ダコタ州、およびテキサス州)に対し、輸入停止を決定した。米国内での乳牛への同感染は、3月下旬にテキサス州で最初のケースが確認されて以降、8州と33の乳牛群で報告されている(また乳牛と接触した人が陽性反応を示し、結膜炎を発症した症例も報告されている)。


具体的には、コロンビアは4月16日より前に屠殺された米国産牛肉に関しては輸入許可を発令するが、同日以降に屠殺された牛は輸入禁止扱いとなる。
ICAによると2024年2月現在、コロンビアは金額ベースで年間870万ドル規模の乳牛を輸入しており、最も輸入量が多い国は米国で1,068トン、金額にして680万ドルである(次いでチリが273トンで150万ドル、アルゼンチンとカナダがそれぞれ数量ベース15トンと25トンで続いている)。
4月24日、米政府は、州と州の境界を越えて移動する乳牛に対するH5N1の検査を義務付けると発表したものの、コロンビアは世界で初となる一部の州に対する米国産乳牛の輸入禁止措置に踏み切った。

コロンビア 認証種子の使用強化へ その課題とは?

農業国として内外にアピールしたいコロンビアにとって長年の頭痛の種は違法種子の使用であり、種子組合(Acosemillas)の統計によると(2020年発表)、各品目の違法種子の使用率は稲作: 80%、大豆: 50%、綿花: 25%、ジャガイモ:90%に達しており、植物衛生、食糧安全保障、農業部門の競争力や知的財産権にリスクをもたらしています。いわずもがな自家採種や自家増殖も盛んで、病害虫発生の原因、品質管理の困難を招いていました。


現時点でコロンビアでは品種登録制度があり、新たに植物の品種を育成した者が国(ICA)に出願をし、当該出願が品種登録の要件を満たしている場合に、品種登録が行われます。この品種登録は従属品種及び交雑品種にも及び、全ての生産者に対して「品種登録された種子を利用するよう」呼びかけています。


特に種子組合はICAが播種時期をコントロールした種子の使用を推進しており、ICAが認可した種子を使用することの重要性をすべての生産者と投入資材・種子取引業者に緊急に訴えているのがおもしろいところ(根拠: 2015年ICA決議3168)。


この決議では、認可された種子は選抜種子と認証種子に分類され、研究・遺伝子改良・開発プロセスに準拠した品質の保証された種子とされ、生産および最終製品の各段階で品質管理を受けた種子です。一方、選抜種子は販売段階で品質が評価される種子と区分され、現時点でコロンビアでは、野菜、花卉、植物、林業など1,000種以上が認証種子にとどまっています。

認証種子の使用が普及しない理由として、①認証種子の供給不足またはアクセスの悪さ(購入手段が限られており地方の生産者が周知していない)、②購入費用の問題(認証種子は通常、品質管理や品種改良が行われているため、その価格が高い。農業者が認証種子を購入することが財政的に困難)、③文化的要因(伝統農法が根強く、自家増殖が一般的になっている。認証種子を使用する意欲が低い)。

個人的には③が一番障壁となっていると考えています。法的コンプライアンスの整理とともに、種子生産、種子加工、種子認証、販売の一連の動きが可視化されること、認証種子の生産体制の改善を図り、市場に出回る種子のうち、ICAが定める基準を満たしている種子量が増加するにはどうしたらいいのか? どんなスキームが必要なのか? 注視したいと思います。

カリ発 マケドニア向け乾燥大麻(カンナビス・サティバ)の400kg規模の輸出成功

コロンビア植物防疫庁(ICA)によると、コロンビア国内には60社以上による乾燥大麻が合法的に輸出されており(2022年4月以降)、オイル等に加工され、医療用大麻の目的でオーストラリア、スイス、ドイツが主な輸出仕向け国となっています。


当地経済紙Agronegocio紙(2024年4月14日付)によると、当地南西部カリ市の地場企業Earth's Healing Colombia S.A.S.が400キログラム(800袋)というかつてない量の乾燥大麻の北マケドニア向け輸出に成功しました。


輸出側であるコロンビアが乾燥大麻の輸出にあたり重要視するプロセスは以下の通りです。
①品質管理: 輸出される植物種が品質管理基準に準拠している必要があること(大麻の栽培、収穫、処理、保存)。病害虫や疾病の検査を含む。
②法規制: 輸入側の法規制に違反する植物である場合、差し止められたり廃棄されたりする可能性があるため。また大麻製品には、THC(テトラヒドロカンナビノール)などの規制物質が含まれる場合があります。輸出前にこれらの物質の含有量を検査し、輸出先の規制に準拠していることを確認する必要があります。
③原産地証明: 乾燥大麻の原産地において、植物がどのような害虫や病気にさらされてきたかを示すため。
④植物種の識別: 乾燥植物の種類によって、検疫基準や規制が異なり、品種によって輸出規制のテストが変更されるため。

乾燥大麻の輸出は、法的な規制や国際的な規制によって厳しく制限されることが一般的です。そんな中、カリの企業が400㎏の品質管理をクリアし、経由地を通り北マケドニアで大規模な輸出を成功されたのはポジティブなニュース。医療用大麻加工品の多様性に伴い(オイル、錠剤、クリーム等)、今後コロンビア産の乾燥大麻が世界で選ばれるかもしれません(ドラッグの国というイメージを払拭すべく奮闘している政府にとっては複雑な思いだと思います。ただし、医療用大麻ビジネスは成長市場であり、革新的な機会が数多く存在しています。相手国の法的な規制や倫理的な配慮を遵守し、そしてコロンビアもクリーンな輸出国として台頭していければ、可能性は広がるのかもしれません。
(2024年現時点で医療用大麻を合法としている国は、カナダ、イギリス、ドイツ、オランダ、アメリカのいくつかの州、イスラエル、マケドニア、オーストラリアが挙げられます)

セサル県で新しい産直ECサイト”エコルサ(Ecorza)”がローンチ! 

2024年4月、当地北東部セサル県(ベネズエラと国境を接する。人口約110万人)において、コロンビア国立大学による新しい産直ECサイト”エコルサ(Ecorza)” が導入されました。これは日本ではすでにある、オンライン上で消費者が生産者から直接農産物を購入できるシステムで、中間マージンが発生しません。ただ少し違うのは、工芸品等も含まれる点で、セサル県は地元製品のマーケティング全般に活用する方針です。


エコルサがコロンビアで画期的な理由として、①双方に有益な情報と商品情報を生産者が登録できる、②生産者の出品コストがかからない、③セサル県内の農業及び手工業コミュニティの活動を消費者や投資家が検索できる、④コミュニティが地域に関連するニュースや情報を公開できるようになる点でしょうか。一貫して、ECサイトとしての機能はもちろん、音欄による生産チェーンの改善、およびオンライン販売の増加による運営コストと流通コスト削減を目指していることがみてとれます。


またボゴタ市の民間企業 Sepro によって開発されたアプリを利用すれば、販売在庫の管理、生産コストの見積もり、輸送物流中の製品トレーサビリティを管理することができます。


日本人にすると、「今までなかったの?」と言いたくなる内容でしょうが、コロンビアではまだ生産者の消費者が月と木星ほど遠い。かと思うと、家の入り口や道路の近くに魚、卵、チーズ、ヤギの乳、鶏肉、肉、メロン、レモン、マンゴー、蜂蜜、パン、アレパ、アルモハバナ、さらには工芸品まで売っていることも珍しくない(しかし田舎に限るので、継続できるほどの収入には遠い)。このエコルサの取り組み(現時点でセサル県内の7つの自治体が参加)がどこまでコロンビアの他の農業県に波及するか楽しみですが、「事業主体側が商品在庫を抱える必要はない」という最大のメリットと、農産品をオンラインで購入した経験のない消費者が「手に取らなくてもほしい」と思えるかがポイントになりそうです。


現在コロンビアの農産品ECサイトは5つ程度あります(Waruwa, Merkaorgánico online, Merkacol,Frubana, Plazamercado.co. ,Merqueo.)。どれも主婦のアプリに入っているケースは低く、ECサイトはこれから伸び代のあるマーケット。プラットフォームの使いやすさとセキュリティ(安全にクレジットカード情報を打ち込めるか)、食べ物は返品がきかないために商品情報の正確さや質の高さなど、いろんな課題があります。その一つひとつの解決策に、日本企業の技術が参入する日も近いとみています。

西アフリカの大雨によるカカオの供給不足止まらず コロンビアの生産者は輸出拡大へ

世界中でカカオ高騰が深刻となっています。

西アフリカを中心に気候変動や病害虫からくる不作から、前例のない品不足で市場は崩壊寸前との見方も(当地経済紙アグロネゴシオ2024年3月28日付)。先物価格はわずか3ヶ月で2倍以上に跳ね上がり、トレーダー、加工業者、生産業者により多くの現金を投じてヘッジ取引を行うか、撤退を余儀なくさせている模様。


世界のカカオ豆のほとんどが生産されている西アフリカ(コートジボワール、ガーナ)での大雨・洪水による不作が3年目の供給不足は、まず同地域生産地での調達競争を引き起こしました。コートジボワールでは多くの貿易業者や加工業者が、政府が設定した価格よりも高い金額を農家に支払うことで供給の確保を急ぎ、その中にはエクアドルやインドネシアなどの小規模生産者に目を向けた業者もいました。

また、年末に施行される欧州連合(EU)の新規則では、カカオが森林破壊された用地由来ではないことを証明することが企業に求められるため、EUは森林伐採の同規制を遅らせるよう求めるロビー活動もあるようです(当地経済紙アグロネゴシオ2024年3月28日付)。加えて、カカオの国際需要には製菓業界等の加工業者が大きな鍵を握っており、Circana社の調査によると米国の小売業者は2023年、国際情勢を受けチョコレート製品の価格を前年比11.6%値上げしました。

コロンビアの生産者はこの状況をどう受け止めているのでしょうか?


当地は世界第10位、中南米では第5位のカカオ生産国であり、2023年生産量は約6万トン、輸出量は約4,000トン、輸入量は約20万トンであり、ほとんどのカカオはコロンビア内で消費されており、年間需要は約45,000トン(コロンビア国立カカオ評議会)。コロンビアカカオは世界的にはまだ希少性があり、世界では1.5%程度しか出回っていません(同上)。

輸出は高騰している先物価格に左右されるため、当地生産者は現時点で恩恵を享受しています。また国内市場に限定すると、2023年11月に施行された15%の付加価値税のほか、2024年末には20%に引き上げられる健康税がこれらの製品にもさらなる圧力をかけてないかを現場では懸念の声がでているほど、生産面でのリスクは一切ない。
そしてアフリカの供給不足から、コロンビアのチョコレート生産は輸出拡大へと動きが出ており、当地食品大手企業Nutresa社は最近、100億ペソの投資を発表し、対チョコレート市場の投資が活発化しています。


個人的には、当地の生物多様性に支えられるコロンビア産高付加価値チョコレートはもっと知られてもいいと確信しています(イバゲ産チョコレートのビジネスサポートもしていますが。カカオハンターも有名ですよね)。生産と加工技術を両輪に、「ガーナチョコもいいけど、コロンビアのチョコレートも味が深いよね」という声を当たり前に聞ける世界に持っていかなければ! とふんどしを締め直しております。

ボリビアにおけるFVC, 第六次産業の課題とは?

今回訪問する機会を得たボリビア(サンタクルス県、サンフアン、オキナワ)では、フードバリューチェーンの構築と改善の可能性を探りました。
まずボリビア農業を知る上での前提として、
①地理的特徴: 南米の内陸国であり、アンデス山脈やアマゾン盆地など多様な地形と気候を持つ。これにより、様々な農産物の栽培が可能。(市場に行ったら、どれも新鮮な上に農家さんの利益が心配になるほどの安価。)。
②主要な農産物: ボリビアの主要な農産物には、コカ、コーヒー、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、サトウキビ、大豆(特にコカは伝統的に重要作物であり、コカの葉はチュウニョやマテ茶として消費)。嗜好品としてコカ茶を噛む男性も田舎ではよく見ました。
③小規模農家の比重: ボリビアの農業は、主に小規模農家によって営まれており、農業は家族単位で行われることが一般的。
④持続可能な農業との課題: ボリビアの農業は、持続可能な農業プラクティスの導入に向けて取り組んでいる体裁ですが、実際はまだ活用されていない。政府主導の営農指導や研修なども、不十分という現場の声がある。
⑤輸出産業: ボリビアの農業産品ではコーヒーや大豆などの農産物が国の外貨獲得源として重要な役割を果たすほか、最近は牛肉、チアシード、キヌアなどスーパーフードも存在感を増している。
また一般的な農業政策として、土地改革、農業技術の向上など農業セクターの発展を支援する施策はあるものの、実際には十分に機能している(農家がサポートを受けていると実感できるレベル)とは言い難い。


今回、サンタクルス県の次にサンフアンの日系人移住地を訪れましたが、そちらで栽培されている日本米は8月~11月の年一回の周期で栽培されており、国内の大手スーパーマーケットで流通していました。1㎏, 5kg, 10kg単位でのパッケージとなり、自前でライスセンター(乾燥、調整迄)を保有する農家さんも若干数あるとのこと。

一方、農協を介さず消費者向けの直接販売はご法度のようで、①農協と生産者がwin-winとなる営農の仕組み、加えて②コメを使った商品化(高付加価値化)の必要性がありました。


実際には日本で手ほどきを受けた和菓子(長崎屋)も販売されており、人的リソースは十分なサンフアン。モノづくりという観点では、農業技術の改善のほかあらたな売り先の確保といったフードバリューチェーン構築が重要となります。
Caisy農協の自前精米所は温度管理をはじめ適切な品質管理が実施され、インディカ米と日本米の精米する上でのコンタミを防ぐ取り組みも完璧でした。


そちらを確認した上で、①農協のコイン精米機の導入、つまり②少ロットの精米(五分づき、七分づき、発芽玄米等)を以て高付加価値を目指す提案もしました。


ボリビア(サンフアン、オキナワ)におけるコメの第六次産業(付加価値の高い加工、販売、サービスなどの分野)の課題として、
①加工技術の不足: 適切な加工技術や設備、売り先の新規開拓の情報不足。
②市場へのアクセス: 第六次産業では、市場へのアクセスが重要ですが、遠隔地に位置する生産者や加工業者は、市場への輸送コストや物流の問題に直面する可能性がある。
③品質管理と認証: コメ製品の第六次産業において、市場での信頼性や競争力獲得のため適切な品質管理や認証が求められるものの、まだ確立されていない。コメ加工品の可能性として米粉の例を挙げたものの、餅粉・上新粉・団子粉といった米粉の分類ができておらず(注 南米共通)、製菓やパンに利用できる米粉の種類の認識が乏しい(吸水率が異なるために、粉の種類の識別は重要)。
④価格競争と貿易の問題: ボリビアのコメ製品の第六次産業は、国内市場だけでなく国際市場とも関連しているものの、貿易の問題(関税、輸入制限など)が、影響を与えている。具体的には開かれた経済政策が乏しく、メルコスールや南米関税同盟には加盟しているものの、FTA等二国間での経済自由協定はほぼなく、制限された状態。

                        (サンフアン農協所有圃場)
今般、輸出促進機構でもあるCadeco(サンタクルス)とも面会を持ちましたが、これらの課題を克服するためには、政府、地方自治体、民間セクターが協力して、オールチームでのFVCを目指していこうと思っています。

サンフアン農協青年部の皆さんとの歓迎会。養鶏もされているので、数年ぶりに食べたたまごかけごはんの味に感激しました。

コロンビアでの案件が多い弊社ですが、ボリビアでのさらなる活動も始まりそうです!

ボリビア・モレノ大学開催「コメを活用したFVC構築セミナー」に登壇しました!

2023年10月、ボリビアのサンタクルス県に所在するガブリエル・レネ・モレノ国立自治大学の農学部の学生さん向けにオンラインでセミナーに登壇しましたが、そのご縁により今回対面での講義が開催され、2時間の貴重な時間をお預かりしました。


登壇者である私は、食品産業の専門家や実業家でも何でもなく……ただ、自分のコロンビアと日本で関わっている分野の経験から、「こういう統計や経験から、私はこんなふうに働きかけて、こういう成果を得たよ。ボリビアでは、こうしたらどうだろう?」と考える機会としてフードバリューチェーン(FVC)の知識や洞察を提供しました。


そして毎回思うけれど、私は自分が何をしゃべりだすのか一番把握していない! 始まる10分前は、「あんた、いったい何を話すつもりっ!?」と自分の体をゆする衝動にかられます。学長からマイクを受け取ると、そこからはもう土壇場。最初の5分は壇上にいた記憶もありますが、まああちこちわたってボリビアの皆さんの意見をヒアリングしました。講義って、しゃべる側も聞く側どちらも参加者。登壇者は指揮者で、「どんなゴロでも拾うので、臆せず発言してほしい」とひたすら思います。その念が通じたのか、今回も休憩時間なしの2時間走り抜けました。


プレゼンテーションのテーマは「コメ加工品ビジネスにおけるグロカリゼーション」。コメがフードバリューチェーンに与える影響や可能性について説明しました。具体的には、少ロットでの生産性向上、精米技術の効率化、ECサイト構築、消費者とのエンゲージメント強化などのポイントを取り上げました。

次に、具体的な日本企業の進出成功事例を紹介し、マーケティングにおけるグロカリゼーションの有効性を示しました。最後に、ボリビアでのコメ販売ルートの付加価値の可能性、コメにとどまらずカカオ、モリンガやアチョーテ等の新規展開品目などの日本向け輸出のケーススタディなど、参加者とのディスカッションを通じて、彼らのビジネスに適した戦略やツールの選択について議論しました。


 参加者は加工品ビジネス導入の関心が高く、質疑応答のセクションも大盛り上がり。特に、実際の導入事例や成功事例の情報に関心がありました。また、セミナー後の軽食ではサンフアンで和菓子の製造販売を行うカリーナさんの米粉マカロンを提供。コメの付加価値という観点でも有益であったほか、講義内容が面白かったとの好評を参加者よりいただきました。


フードバリューチェーンの構築において、商品の付加価値創造はますます重要となっています。今後はより多くの個人・企業が自らの「バリュー」を競争力を高めるために最適化していくことが期待されますし、サポートしていきます。


ボリビアの学生さん、精米企業の関係者からもポジティブなフィードバックを聴きました。FVC構築における最新のトレンドや戦略は日々変化します。高付加価値加工品の市場動向や需要の変化、競合状況などについて、ボリビアではどうなのか? をリサーチしていく予定です。また、具体的な製品開発のプロセス、戦略についても同地での新たな製品アイデアや市場展開の戦略について活用します。
 参加者との交流を通じて、弊社も新たなアイデアやパートナーシップの可能性を探ることができました。コロンビアにとどまらず、ボリビアでの新しいビジネスチャンス構築に向けて動いてまいります。

農匠ナビ×国立職業学校SENA, MoU締結! コロンビア農業の新たな一歩へ。

農業研究、開発、実証、技術普及及びコンサルティングサービス事業を行う農匠ナビ(本社 滋賀県)は、2023年コロンビアで稲作栽培、水管理、気候変動に対する持続可能な生産技術の移転と高付加価値チェーンの構築に関する実現可能性調査に関連するプロジェクトを開始(中小企業支援JICA案件化調査)していました。そのたび、コロンビア国立職業学校SENAと今後の協力体制構築のため、農匠ナビ本社社長のコロンビア訪問に合わせ、MoUを署名する運びとなりました。弊社も少しサポートに入っていた関係で、内容をレポします!


 SENAはコロンビアでは知らない人のいない存在で、教育省管轄により1,000以上の講座・クラスを開講し自国民だけでなく外国人にも門戸を広げています。全ての人の教育の受け皿となる重要性を認識し、農匠ナビの研修や技術を広める上で重要なパートナーになりうると数か月間にわたり交渉を進めていました。


 今回、合意した内容は次の通り。
①稲作とその生産知識、農業技術移転、日本での成功事例の共有を促進するために、両者は協力体制を構築する。
②有機農業、持続可能な生産技術、スマート農業(特に稲作)、および農業技術に関する知識の教示と開発。
③文化的、教育的、革新的、技術的な交流を促進するセミナー、ウェビナー、講演、対面またはオンラインイベントの促進。
④資格のある訓練実習生、関連する知識ネットワークおよびSENA雇用の研修講師を対象とした、研修等国際交流の推進。
2月28日,ついにSENA代表JORGE EDUARDO LONDOÑO ULLOAと農匠ナビ側横田修一社長が、対面での署名を実施しました。


これにより、①コロンビア農業の生産性向上(農匠ナビによる新たな栽培技術や効率的な管理手法を導入することで、コメ収穫量が増加)、②持続可能な農業(稲作用地の劣化減少させ、環境不可軽減)、③農村経済の発展(技術移転は農村地域での雇用創出につながる。新しい技術を取り入れることで、農業生産の拡大や付加価値の向上が実現し、地域社会全体の経済的な繁栄に期待)、④食糧の安全保障(食糧供給の安定化)、ひいては⑤地域間所得格差是正(新しい技術が普及することで、資源の少ない地域も効果的な農業生産を実現し、地域全体の均等な発展を促進)、⑥気候変動への適応(気候変動に対する農業の適応力を高める手段の提供。農匠ナビの水管理技術が、極端な気象条件に対処するための助けとなる可能性)が期待できます。
 

いずれにせよ、新しい日コロ農業連携の始まり。2024年、両国は大きな一歩を踏み出しました。

2023年コロンビア産アボカド輸出量が過去最高を更新

当地経済紙Agronegocio紙(2024年2月22日木曜日付)によると、コロンビアのアボカド(ハス種)が過去最高の輸出量を記録した。

2022年4,055FEUが国外に出荷されたのに対し、2023年伸び率26.4%増となる5,125.5FEUを達成した(1FEU=40フィートコンテナ1個)。

当地アボカド協会(Corpohass)によると、この増加は、異常気象による3回の収穫が可能となったこと、数ヘクタール規模ではあるが収穫用地拡大、BPA(輸出用農業規制)の地道な遵守などが実を結んだ。品種はアボカドの定番であるハス種(グアテマラ系。日本で流通するアボカドの99%で、果皮は黒紫色でゴツゴツとして分厚い品種)である。


ハス・アボカドが輸出された主な港は、北部カルタヘナ(3,197FEU)、同サンタ・マルタ(同1,723FEU)、トゥルボ(184FEU)、南西部ブエナベントゥーラ(同21.5FEU)であった。