コロンビア 蓄電池要らずの水力発電が普及している理由
日本の約3倍の国土をもつ当地はアンデス山脈が縦横に走り、その豊かな標高差がコーヒー栽培やフルーツ生産、牧畜、酪農など多岐にわたる産業の実現に貢献している。
その中でも、地形の恩恵として特筆すべきが再生可能エネルギーである。
コロンビアの発電量86.51%は水力発電であり、一日あたり182.91GWhの電気を生み出す。
2022年5月の月間発電量は6,554.31 GWhであり、前年同月比1.67%増となった(当地エネルギー公社 XM社発表)。
水力発電には、水が高い所から低い所へ流れる際の位置エネルギーが欠かせない。
河川や農業用水路などに発電用水車を設置する流れ込み式や、ダムに貯めた水を放流することで発電する貯水池方式があるが、コロンビアではもっぱら後者が主流であり、莫大なダムに
轟音をあげて降り注ぐ水流は圧巻である。
化石(火力)発電ではなく、使っても水自体が枯渇することはないためそのクリーンなエネルギーとしてのメリットも大きく、国内には28の水力発電所が所在し稼働している。
デメリットは降水量が発電量を左右するところであり、確かに干ばつが続けば水不足による節電のお達しもあると予想されるが、当地は国全体で長雨が続いており当面の心配はなさそうだ。
地域毎での水力発電量をみると、北部カリブ地域(150.4%)、東部(120.6%)、中央部(106.4%)、南西部バジェ(100.0%)、北西部アンティオキア(91.3%)となっている。
水力発電は今後も筆頭エネルギーとして存在感を高めていくと思われるが、コロンビア政府は風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーを大幅に拡充する方針を打ち出している。他国には真似できない、自然に恵まれたエネルギー政策を意欲的に取り組む予
定で、ブラジルやアメリカなど、先進国の再生可能エネルギー施策にコロンビアの関心が集まっている。