2030年までに小麦・牛乳の生産が大幅アップの見込み
コロンビア農業の次なる一手とは
経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)の最新報告によると、中南米全体の一人当たりの所得予測は2030年には年間1.5%増となることがわかった。また、コロンビアを個別でみると同3.1%の増加が想定され、OECD諸国の中で、トルコと韓国に次いでコロンビアが最も高い成長が見込まれている。今後の当地の農業システムにとって、大きな転機となりそうだ。
OECDとFAOによると、バイオ燃料の需要増によりヤシ油の供給は世界中で年間1.3%の割合で増加するとされ、特にコロンビアは2030年までに200万トンを生産し、持続可能認証を取得した生産ニッチを開発する方針である。無論、政府は輸出拠点としてアピール強化をはかるものと思われる。
次に小麦をみる、と現在カナダなどの国から年間約190万トンを輸入しており、国産小麦の存在感は決して高くない。一方報告書によると、2018年~2020年の年間生産量約4,000トンが2030年には約6,000万トンに達する見込みとなり、約50%の増加が確実視されている。
トウモロコシは、同報告書によると2018年~2020年の国内平均生産値量年間約140万トンは、2030年には同170万トンとなり、生産量は約16%増加する。コメは、2018年~2020年の年間生産量約180万トンは2030年には同200万トンとなる見込みで、約12%上昇する予定だ。砂糖は今後10年間で9.4%増の240万トンの生産、牛肉は同約320万トンに達すると推定されており、どれも増加傾向にある。
(ちなみに豚肉の生産量は2030年24%増の約51万7,000トン、鶏肉は同200万トンに達する予想である)。
乳製品の生産をみよう。2020年から2030年までに年間生産量約730万トンを突破することが目され、現在の年間数字からみると約28%の増加である。現在、コロンビアの乳製品はEU向けに多く輸出されているものの産業成長のために新規輸出仕向け先開拓は免れない。
8月7日就任予定のペトロ新大統領は、農業輸出拡大に向けた短期的な目標数値や大規模な具体策を記した国家開発計画をまだ提示していないものの、マニフェストにはアグロインダストリーの拡充が謳われており、今後も注力する必要がある。