コロンビア 違法作物の栽培が増加傾向に
当地経済紙AGRONEGOCIO(2022年10月24日付)によると、2021年コカインをはじめとする違法作物の播種面積(ヘクタール数)が 約43%増加し、結果コカイン生産量が14%増加していることがわかった。左翼ゲリラFARCとの内戦終結により社会的包括(ソーシャルインクルージョン)の段階にあるコロンビアで耳を疑うニュースであり、衝撃が走っている。
違法作物栽培面積は 2020 年の 14 万3,000 ヘクタールから 2021 年 20 万 4,000 ヘクタール以上となった。これは、コーヒーに次いで 2 番目に大きな農産物であるヤシの生産量のほぼ 3 分の 1 に相当するだけでなく、コカイン生産量は推定過去最高の1,400トンに達する想定という。2017 年 17万1,000ヘクタールであった違法作物栽培面積は2021年20万4,000ヘクタールで4年間の上昇率は19.2% であるものの、2010年の5万1,000 ヘクタールと比較すると 300%の増加である。
さらに全違法作物の 62% がナリーニョ県、ノルテデサンタンデール県、プトゥマヨ県にあることがわかった。コカイン栽培の 45% は 10 の自治体に分散され、そのうち約半数が森林保護区や先住民保護地区など特別な管理地域にあり、生活苦の少数民族らが栽培に加担している可能性が高い。
ネストール・イバン・オスナ法務大臣はコロンビアの反麻薬対策の責任者である。和平交渉締結後の代替作物促進の方向性が機能していないことに対し、政府はコカイン取引を合法化するつもりはないと断言するにとどめ、衝撃を隠さなかった。
しかし、これらの現況は看過できる問題ではない。違法作物に手を染めざるを得ない地方の経済状況、地下経済の横行、選択肢のなさなどが現場を苦しめている。
政府は今後とも土地の代替、作物の代替、および包括的な薬物政策を促進し、違法作物栽培の解決策を提案し続けるという。
和平交渉後の農業政策の難しさが浮き彫りとなっている。