<コラム>コロンビアの豚は何を食べているのか?
コロンビアは養豚業が盛んで、今後も成長が見込まれる分野である。
当地の豚の皮を油で揚げたチチャロンやポークステーキの肉汁したたる美味しさといったら、言葉も忘れるほど。特に当地バジェデルカウカ県のチュレータ(豚カツ)は1メートルに及ぶ大きさでインパクトが強烈なため、日本の出張者が来ると必ず一度はお連れしている。
2021年コロンビアの豚肉の生産量は約50万トンに達し(コロンビア養豚協会)、国内5,000万人の胃袋を満たすだけでなく経済協定(FTA, EPA)を利用して輸出も行われている(輸出仕向国は主に米国、エクアドル、香港、台湾)。
さて、豚は何を食べて成長するのだろう。
日本では一部の養豚場で適切な処理と管理の上、食品残渣を再利用して豚の餌として与えることがある。豚の餌は通常、栄養バランスが考慮された専用の飼料や穀物、野菜、タンパク源などで構成されるため、畜産業の規制や基準に則っていれば賞味期限切れのケーキもあり得るのだ。
一方、コロンビアではすべての農場で繁殖期、泌乳機、成長期、肥育期に合わせた特定の飼料を使用し、いかなる種類の廃棄物も豚に与えないことが規定されている。無論、小さな農場(全体の1%以下)の中には、廃棄物や余った果物、野菜、塊茎などを豚の餌にしているところもあるが、これは養豚業協会では承認していない給餌方法。栄養的貢献度を確認するための食科学分野の解明が追いついていないため、養豚協会が警鐘を鳴らしている。また、不適切な取り扱いやによって廃棄物が分解されると、動物に有害な汚染物質が発生する可能性も否定できない。(例えばキャッサバにも、青酸があり、場合によっては死に至る)。
ブラジルではチーズを製造する際に出る乳清を豚の給餌に利用する農場がいくつかあるものの、当地では行われておらず、「専用の飼料」のみが供給されている。
個人的には、竹の笹やどんぐり等の自然給餌で育った豚も食べてみたいと、ブランド豚誕生を夢見ている。
(記憶に新しいことに、2021年の物流業者の抗議活動の際、当地最大輸出港ブエナベントゥーラ港の閉鎖により、飼料を作るための資材の輸入がストップ。バジェ・デル・カウカの一部の養豚業者は、アフヤマ(カボチャ)、グアバ、パパイヤ、マンゴー、バナナ、また死んだ鶏を非常用飼料として給餌を自作。この一連の活動により、畜産部門、特に鶏肉部門に影響を与え、鶏卵の価格高騰を引き起こした。)