カカオ作物の生産性向上にカドミウム耐性の微生物の可能性 新たな研究発表

ポリフェノール等栄養価の高さで知られるチョコレートだが、その原料の高カカオの銘柄によってはカドミウム(腎臓や肝臓、骨などに損傷を与えるほか、生殖能力への悪影響である生殖毒性がある)が含まれている。すぐに人体に影響を及ぼすものではないが、カドミウム含有量を減らすことは長期的には土壌改良の必要があり、ほとんどの生産業者は加工過程での洗浄に注力するなどして短期的に含有量を減らす対応でしのいでいる。

コロンビア全国カカオ生産者連合会(Fedecacao)によると、2022年のカカオ生産量は6万2158トンで、2021年に比べ10%減少したが、生産性の低さの要因として、カドミウムが作物に多く含まれているとの指摘があり頭を悩ませてきた。カカオに含まれるカドミウムは、土壌の品質や重要なミネラル等栄養素に関わる微生物に影響を与えるため、品質に直結する。

そんな中、コロンビア国立大学の研究グループは、カドミウム濃度が高いカカオ土壌のサンプルを特定し、その中に生息する微生物の中にカドミウム含有量を減らす要素があることがわかった。クンディナマルカ県ヤコピという地方自治体で、天然カドミウム濃度の異なるカカオ土壌に存在するバクテリア群の研究を実施している。

具体的に、3つのカカオ生産農園から計36の土壌サンプルを採取し、分子生物学的手法を用いて、群集DNAの抽出、増幅等である。

その結果、土壌1kgあたり最大15mgと突出したカドミウム濃度が検出されたが、その中でブラディリゾビウムとバチルスの微生物がカドミウムに対する耐性を示したという。

微生物の利用はカカオの品質と持続可能性にどのような影響を与えるのか?

これらの耐性バクテリアは、植物の新芽と根の成長を刺激し、またカドミウムで汚染された土壌を修復するための生物学的薬剤と考えられている。

将来的には、これらのバクテリアを分離、精製し、さまざまな濃度のカドミウムが制御された存在下でバイオレメディエーション剤として使用することが期待される。

今回提言された微生物によるカドミウム対策を実施することで、右含有量は1年間で大きく削減されると期待されている。

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