2023年度日系社会研修「次世代の農業を担い革新を起こす人づくり」セミナーに登壇しました!

国際協力機構(JICA)では日系社会への情報提供を通じて中南米地域への発展を促すプログラムであり、座学や視察を通じて母国の農業振興のアイデアを持ち帰ります。

そのJICA横浜市での日系人研修プログラムに昨年に引き続きオンライン登壇しました。

次世代の農業を担い革新を起こす人づくり(スマート農業、フードバリューチェーン、「道の駅」を活用した地域ブランディング振興策)というテーマで、参加者の顔ぶれも様々で意外にも日系人はごくわずか。代々受け継ぐチーズ農家、地域議員、観光のスペシャリスト、市町村の公務員。男性が多く、30代~60代というバラエティあふれる面々でした。

弊社が任されたのは「フードバリューチェーン構築」のセミナー。ケーススタディとディスカッションをメインにしたかったので、①「バリュープロポジション」の仕組みと、②「米粉ブランディング」を通じたコロンビアの取り組みをサンプルに、パラグアイだったらどうするか? どのように価値を高めるかを重点的にディスカッションしました。

①バリュープロポージョンとは?

顧客がその商品を手に入れることでもたらされる明確で実証可能な利益を指す概念ですが、これを知っているか知らないのかは大違い。「定員20名の居酒屋が3,000人レベルの集客をすることはわりにあわない。20名の強みは何なのかを見極めることが大事」という話から、ボリビアとパラグアイで取り扱うサービスの価値、競合他社が真似できない部分、自社が得意で、顧客に求められている価値を見つけ出すこと。

言い換えると「価値提案」なのですが、「顧客の求められることに応じるのがビジネスの役割」と思いがちなリーダー達に、「顧客は間違ったニーズをもつこともある。本当の価値はどうつけていくのか」を、たくさんの日本式フードバリューチェーン成功例・失敗例を通じてディスカッションしました。バリューチェーンは商品開発だけでなく、仕入れや流通、顧客の手にわたるまでそのすべてにこだわりを詰められます。正解がないのが面白く、むしろどんな価値を主張しても不正解ではない。

参加者の経歴が違うことから、①生産者の視点は? ②仲介業者はハッピーなのか? ③小売店はそれでいいのか? ④地方自治体として持続可能なビジネスになりうるのか? を問い続ける作業。これが一番盛り上がります。

決して誰一人ボランティアになってはいけない。ビジネスとして成立させることのみが条件。とてもチャレンジングでわくわくする思考の訓練です。

②「米粉ブランディング」を通じたコロンビアでの取り組み実例

パラグアイ、ボリビアにとって新しい商品開発・バリューチェーンの構築が有益だったのはコロンビアで現在進行形のプロジェクト。

何のきっかけがあって、弊社が米粉事業に関心をもったのか? そこから、日本の米粉マイスター協会や米粉普及指導員に連絡をとり、コロンビアの米粉で試作をお願いした実例、トリマ県商工会議所やFedearroz(全国稲作協会)、Maria Caloria SAS(製粉企業)との協力体制構築にいたるまでの過程。「価値をつくる」には、ワンチームで臨むほうが効率が早い。恥をさらすようで恐縮ですが、「これがわからない、これができない」と助けを求め続けてきたものの手ごたえが、少しずつ返ってきている現状を、包み隠さず伝えます。生のサンプルとして他国での実践ヒントになるならそれが一番ほっとすることなので。

参加者は9月下旬に来日し、11月上旬まで研修が続きます。道の駅ブランディングでは、「商品管理はどのようにしているのか?」「集荷方法は?」「出品者への手数料は?」と具体的な質問が相次いだそう。このアイディアを持ち帰り、数年後には道の駅が南米で誕生するかもしれません。

この研修で知り合った参加者とはメールで引き続き連絡をとっており、帰国後はオンラインでミーティングする予定。コロンビアとパラグアイ、ボリビアで何か仕掛けられたらと思うと、新たな挑戦に胸が躍ります。

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