コロンビア サトウキビの蒸留廃液(ビナス)を利用したバイオ肥料により、トマト生産量が15%増加 多品目にも展開へ
バイオマスエタノールなど、サトウキビを原料とした加工製造が知られているが、その多くの生産工程において、副産物であるサトウキビの絞り滓(バガス)と蒸留廃液(ビナス)の処理が問題視されている。バガスは植物繊維であるが、 ビナスはそのまま河川などに投棄されると深刻な公害を発生させ、それをどのようにサスティナブルに加工するかが議論にのぼっている(バイオエタノールでは他の工場排水と混合して希釈し、サトウキビ栽培の肥料として活用)。
昨今、コロンビア国立大学(カリ)では、1日あたり300万リットルが生産されると推定されているこのビナスを有効利用するため、製糖会社インヘニオ・マヤゲスと協力しマニサレスの南に位置する国立職業学校(SENA)の温室で、トマト作物に対して実施された。
具体的な手順は以下の通りである。
①微生物の培養は寒地で行われ、大気中の窒素をアンモニアの形で固定し、植物が必須栄養素として利用できるようにした。
②希釈した量のサトウキビ残渣が入ったフラスコに細菌を入れて培養した。
③その後、バイオリアクターに移し、5 リットル 32 °C で 1 日間撹拌した後、より大きな タンクに移す。
培養した微生物によるバイオ肥料をトマトに施用したところ、生産性を低下させる害虫であるコナジラミの被害が減ったほか、生育が約15%向上し、平均重量が120~300グラムとなった。化学肥料を施したものに比べ、より多くの生産性が確認できたという(肥料は1日3回施肥。植物の根元に点滴する根面散布と、スプレーする葉面散布)。
多品目展開も進み、花卉栽培ではヒマワリの花で試験した。現在、工業・商業監督局(SIC)がこのビナス肥料に特許を付与し、コリアンダー、パセリ、バジル、アボカド、トウモロコシなどの飼料作物でその有効性が試験されている。