ボリビアにおけるFVC, 第六次産業の課題とは?

今回訪問する機会を得たボリビア(サンタクルス県、サンフアン、オキナワ)では、フードバリューチェーンの構築と改善の可能性を探りました。
まずボリビア農業を知る上での前提として、
①地理的特徴: 南米の内陸国であり、アンデス山脈やアマゾン盆地など多様な地形と気候を持つ。これにより、様々な農産物の栽培が可能。(市場に行ったら、どれも新鮮な上に農家さんの利益が心配になるほどの安価。)。
②主要な農産物: ボリビアの主要な農産物には、コカ、コーヒー、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、サトウキビ、大豆(特にコカは伝統的に重要作物であり、コカの葉はチュウニョやマテ茶として消費)。嗜好品としてコカ茶を噛む男性も田舎ではよく見ました。
③小規模農家の比重: ボリビアの農業は、主に小規模農家によって営まれており、農業は家族単位で行われることが一般的。
④持続可能な農業との課題: ボリビアの農業は、持続可能な農業プラクティスの導入に向けて取り組んでいる体裁ですが、実際はまだ活用されていない。政府主導の営農指導や研修なども、不十分という現場の声がある。
⑤輸出産業: ボリビアの農業産品ではコーヒーや大豆などの農産物が国の外貨獲得源として重要な役割を果たすほか、最近は牛肉、チアシード、キヌアなどスーパーフードも存在感を増している。
また一般的な農業政策として、土地改革、農業技術の向上など農業セクターの発展を支援する施策はあるものの、実際には十分に機能している(農家がサポートを受けていると実感できるレベル)とは言い難い。


今回、サンタクルス県の次にサンフアンの日系人移住地を訪れましたが、そちらで栽培されている日本米は8月~11月の年一回の周期で栽培されており、国内の大手スーパーマーケットで流通していました。1㎏, 5kg, 10kg単位でのパッケージとなり、自前でライスセンター(乾燥、調整迄)を保有する農家さんも若干数あるとのこと。

一方、農協を介さず消費者向けの直接販売はご法度のようで、①農協と生産者がwin-winとなる営農の仕組み、加えて②コメを使った商品化(高付加価値化)の必要性がありました。


実際には日本で手ほどきを受けた和菓子(長崎屋)も販売されており、人的リソースは十分なサンフアン。モノづくりという観点では、農業技術の改善のほかあらたな売り先の確保といったフードバリューチェーン構築が重要となります。
Caisy農協の自前精米所は温度管理をはじめ適切な品質管理が実施され、インディカ米と日本米の精米する上でのコンタミを防ぐ取り組みも完璧でした。


そちらを確認した上で、①農協のコイン精米機の導入、つまり②少ロットの精米(五分づき、七分づき、発芽玄米等)を以て高付加価値を目指す提案もしました。


ボリビア(サンフアン、オキナワ)におけるコメの第六次産業(付加価値の高い加工、販売、サービスなどの分野)の課題として、
①加工技術の不足: 適切な加工技術や設備、売り先の新規開拓の情報不足。
②市場へのアクセス: 第六次産業では、市場へのアクセスが重要ですが、遠隔地に位置する生産者や加工業者は、市場への輸送コストや物流の問題に直面する可能性がある。
③品質管理と認証: コメ製品の第六次産業において、市場での信頼性や競争力獲得のため適切な品質管理や認証が求められるものの、まだ確立されていない。コメ加工品の可能性として米粉の例を挙げたものの、餅粉・上新粉・団子粉といった米粉の分類ができておらず(注 南米共通)、製菓やパンに利用できる米粉の種類の認識が乏しい(吸水率が異なるために、粉の種類の識別は重要)。
④価格競争と貿易の問題: ボリビアのコメ製品の第六次産業は、国内市場だけでなく国際市場とも関連しているものの、貿易の問題(関税、輸入制限など)が、影響を与えている。具体的には開かれた経済政策が乏しく、メルコスールや南米関税同盟には加盟しているものの、FTA等二国間での経済自由協定はほぼなく、制限された状態。

                        (サンフアン農協所有圃場)
今般、輸出促進機構でもあるCadeco(サンタクルス)とも面会を持ちましたが、これらの課題を克服するためには、政府、地方自治体、民間セクターが協力して、オールチームでのFVCを目指していこうと思っています。

サンフアン農協青年部の皆さんとの歓迎会。養鶏もされているので、数年ぶりに食べたたまごかけごはんの味に感激しました。

コロンビアでの案件が多い弊社ですが、ボリビアでのさらなる活動も始まりそうです!

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