コロンビア 認証種子の使用強化へ その課題とは?
農業国として内外にアピールしたいコロンビアにとって長年の頭痛の種は違法種子の使用であり、種子組合(Acosemillas)の統計によると(2020年発表)、各品目の違法種子の使用率は稲作: 80%、大豆: 50%、綿花: 25%、ジャガイモ:90%に達しており、植物衛生、食糧安全保障、農業部門の競争力や知的財産権にリスクをもたらしています。いわずもがな自家採種や自家増殖も盛んで、病害虫発生の原因、品質管理の困難を招いていました。
現時点でコロンビアでは品種登録制度があり、新たに植物の品種を育成した者が国(ICA)に出願をし、当該出願が品種登録の要件を満たしている場合に、品種登録が行われます。この品種登録は従属品種及び交雑品種にも及び、全ての生産者に対して「品種登録された種子を利用するよう」呼びかけています。
特に種子組合はICAが播種時期をコントロールした種子の使用を推進しており、ICAが認可した種子を使用することの重要性をすべての生産者と投入資材・種子取引業者に緊急に訴えているのがおもしろいところ(根拠: 2015年ICA決議3168)。
この決議では、認可された種子は選抜種子と認証種子に分類され、研究・遺伝子改良・開発プロセスに準拠した品質の保証された種子とされ、生産および最終製品の各段階で品質管理を受けた種子です。一方、選抜種子は販売段階で品質が評価される種子と区分され、現時点でコロンビアでは、野菜、花卉、植物、林業など1,000種以上が認証種子にとどまっています。
認証種子の使用が普及しない理由として、①認証種子の供給不足またはアクセスの悪さ(購入手段が限られており地方の生産者が周知していない)、②購入費用の問題(認証種子は通常、品質管理や品種改良が行われているため、その価格が高い。農業者が認証種子を購入することが財政的に困難)、③文化的要因(伝統農法が根強く、自家増殖が一般的になっている。認証種子を使用する意欲が低い)。
個人的には③が一番障壁となっていると考えています。法的コンプライアンスの整理とともに、種子生産、種子加工、種子認証、販売の一連の動きが可視化されること、認証種子の生産体制の改善を図り、市場に出回る種子のうち、ICAが定める基準を満たしている種子量が増加するにはどうしたらいいのか? どんなスキームが必要なのか? 注視したいと思います。