揺れるコメ業界 政府が播種面積と貯蔵量を監視し、余剰状況を監視へ背景には生産者の怒りか
一人あたりのコメ消費量が日本を超えて43.2kg (2021年、Fedearroz)を記録する当地。人口も5,000万人を突破し、それだけの胃袋を支えるコメの生産量強化・競争力獲得へ動いています。そんな中、農業開発省によると2024年7月30日(火)に今年度後半のコメ余剰状況調査結果が発表されることになりました(変数: 年間生産量、今年度半期生産量、一人当たりの消費量などが分析の対象)。
あわせて、コメのディストリビューション改善のため9つのプログラムを含む生産的管理計画(POP)も公表。播種面積の無秩序な拡大が回避され、環境にやさしいコメ作りの実現を目指すとのこと(投資規模は2023年7月から12月までで7億3,000万ペソ、2024年実施財源11億1,200万ペソ)。農業開発省として、生産者の状況改善の一手としたい意向です。
というのも、生産者のロビー活動が最近目立っているのです。国内に9つあるコメ生産者団体が、精米業者からコメ買取価格(コメ生産地イバゲ県の精米業者平均買取価格200.000ペソ/125kg)が下落傾向にあることを危惧しており、2024年前半の高温警報によって収量減につながったことを理由に、生産者に対するインセンティブ強化を要請しています。その一つとして挙げられるのが収穫貯蔵金。
そのメリットとして、
①需要と供給のバランス:
需要が低い時期には貯蔵し、需要が高まる時期に出荷できる。供給不足や過剰供給を防ぐ。②価格安定:
市場に出回るコメの量を調整することで、価格の急激な変動を防ぐ。
③生産者の経済的安定:
生産者が収穫直後にコメを売ることなく、適切なタイミングで市場に出荷し、収入の増加や安定が期待できる。
生産者が長期的な視野で農業経営を行うためには、どのような持続可能な農業を実施していくべきなのか。政府と生産者のにらみ合いが続いています。
個人的には、政府ありきのコメ作りよりも、精米所ありきの販売よりも、もっと消費者と生産者の顔の見える農業を目指したい。自分達でライスセンターを導入したり、パッキングにこだわったり、直接販売ができるようなディストリビューションを実現したいと思っています。