コロンビア農地の謎 一戸あたりの経営耕地面積の70%が5ヘクタール未満

日本はあっという間にお盆休みも終わった頃と思いますが、コロンビアの8月は凧揚げの季節。夏休み終盤の子どもたち(学期区分は8月~6月迄のCalendario B, 2月~12月迄のCalendario Aと分かれていますが、筆者の居住地はCalendario Bが主流)が大きな公園で楽しんでいます。約3か月の宿題もない長い長い夏休み。もちろん学童なんて便利な公共サービスもないためすべての親が旅行を組んだり、託児所の夏休みプログラムに申し込んだり日中の仕事時間を確保するための涙ぐましい努力・・・。

我が家も例にもれず、「子育ては外注せよ」のモットーに則り、車で10分の私立幼稚園に預かりをお願い。給食がついてるのが最高! (日本のお母さんたちほんとうにお疲れ様です。そして日頃母のお弁当に慣れ切っている子供たち。あれだけ豆がまずい、ジュースが酸っぱいと騒いでいたのに、あっという間においしいとなる子どもの舌の単純さよ)


 さて、本題。当地経済紙アグロネゴシオ(2024年8月19日付)によると、当地の農業1戸当たりの経営耕地面積の70%が、全国平均で5ヘクタール以下であることがわかりました(日本は同1.43ヘクタール。JA)。詳しくUPA統計をみると、1戸あたり1ヘクタール未満が計42万6,676ヘクタールで38.6%を占め、次いで10ヘクタール以上50ヘクタール未満が計21万8,587ヘクタールで全体の13.1%。1,000ヘクタール以上の経営耕地は2,491ヘクタールでわずか0.1%となるそうです。


この測定結果は、国勢調査や土地登録と合わせて、コロンビアの農地所有が不平等な状況におかれているともいえます。
なぜかというと、当地ではゲリラと政府との内戦の影響で農民が土地を追われた事実があり、4年毎に更新される【国家開発計画2022-2026】にも農地活用が第一アプローチとして掲げられており農地の再分配政策を決定する上でのファクターとなるから。
国家開発基金(Fedesarrollo)の報告書によると、アンデス地域、カリブ海、太平洋、オリノコ、アマゾン地域のうち、農地はアンデス地域(75.1%)と太平洋(86.3%)に集中しています。加えてそのうち70%以上が5ヘクタール未満で、10ヘクタール~50ヘクタールが13%~15%を占め、予想していたより小さい農地が数多く存在していることがわかります。


作物別でみると、当地の輸出作物(コーヒー、ヤシ、カカオ、アボカド)、輸入も盛んな作物(コメ、トウモロコシ、小麦)、非貿易作物(ジャガイモ、バナナ、キャッサバ)を含む選択された作物は最大50ヘクタールの耕地で栽培されているそう。特にジャガイモ、バナナ、サトウキビ、トウモロコシ、アボカド、小麦の場合5ヘクタールまでの耕地で栽培されているケースが作物全体の約60%以上を占めています(キャッサバ、コメ、ヤシ、サトウキビ、パイナップルでは、5~100ヘクタールの耕地での栽培が全体の過半数)。


生産品目数を絞ってブラジルのように大規模プランテーションを実践すれば、機械農業の恩恵を受けて大量生産も夢ではないでしょう。でも、5ヘクタール以下という小さな農地で多品目栽培すれば、高付加価値化やリスク分散では決してマイナスではない…と私は思います。

大規模プランテーションを構えて帰還民をコカ作物ではなくコメ、大豆等の代替作物に切り替えて輸出強化をはかりたい政府の思惑も理解しますが、今ある小規模耕地で下請けのように働いている生産者に対し、流通網を分散するシステムや高付加農法の手法、売り先の開拓にしても大口取引先を持たずに取引先と直接やりとりできるプラットフォームの構築など、こちらに舵を切ってほしいと思います(もちろん私もやるけどね)。


5ヘクタール以下の耕地がたくさんあるって、大きな可能性ですよね。もっと、コロンビアの野菜とフルーツの品質を底上げしていかなくては!

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