コロンビア 18万トン以上のパーム油が環境持続可能性基準を満たす

パーム油の主要な産出国は主に熱帯地域に位置しています。例えばインドネシア (世界最大のパーム油生産国で、全体の約50%以上)、マレーシア、タイ、ナイジェリア等。そして中南米では我らがコロンビア。世界共通の使い道として、①加工食品(揚げ油、インスタント食品)、②日用品(石鹸やシャンプー)、③飼料、④サプリメント、そして⑤バイオ燃料(再生可能エネルギー源)に加工しています。一方、食品としても工業製品としても必要不可欠であることから、環境への影響が懸念されていることも事実。


熱帯雨林が大規模に伐採される森林破壊、それに伴う炭素吸収量の減少(森林が消失すると二酸化炭素を吸収する機能が失われる)、泥炭地の破壊(泥炭地は炭素を多く貯蔵している湿地帯ですが、これを破壊すると大量の温室効果ガスが放出される)、野焼きによる大気汚染、水質汚染、現地のコミュニティへの影響(地域住民と企業との対立)…。


持続可能なパーム油生産を目指す「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」などの国際的な取り組みも進められていますが、課題は依然として大きいままです。


世界第5位のパーム油生産国であるコロンビアは、どのように持続可能性への取り組みを行っているのか? ましてや当地は大規模プランテーションではなく国内生産量の30%から40%を占めているのは零細農家。持続可能な農法を実施する上で、スマート農業が導入できない(インターネット接続不可)、生物多様性への理解、環境保護や認証に対する知識の伝播が課題でした。


当地経済紙アグロネゴシオ紙(2024年9月14付)によると、そのアンサーとして当地が導入したのは新規「Cocliプロジェクト」。Fedepalma(コロンビアパーム油連盟)とCenipalma(パーム油協会)が支援するこの共同プロジェクトであり、1,500以上の生産者と2,600人以上の労働者に対し、労働条件の改善と自主的な持続可能性基準や規制を遵守し、国際市場で競争できるようにするための技術、教育、資金へのアクセスを提供することに重点を置いています。具体的にCocliは、ApcoおよびRspo認証を含む厳格な持続可能性基準のもとコロンビア国内の約6万ヘクタールの土地を管理しており、これにより18万2,000トンのパーム油と9,000トンのパーム核油の生産が促進され、これらの地域における厳しい環境基準の遵守が保証されることなります。


また、同プロジェクトは、コロンビア北部、南西部、中部のパーム油栽培地域で実施され、10ヘクタール未満の零細農家が農業慣行を最適化し、気候変動への対応能力を強化する機会を得ることになるそう。小農に焦点を当てたデータ主導のアプローチを採用することにより、生産者の直接的な利益が増えるなら何とすばらしいことか!


パーム油は、食品から美容・パーソナルケア製品まで、私たちが毎日使う幅広い製品に欠かせない成分で、日本の食卓にコロンビア産パーム油が使われているとすれば誇らしい。環境保護や公正な労働条件確保だけでなく、生産者にとって儲けのある、続けられる営農であってほしいと思います。

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