コロンビア産牛肉のイラン向け輸出が承認
南米きっての親米派、コロンビア。そのイメージでみると意外ですが、反米の外交路線をとるイランとは牛肉を介して新しい貿易関係を開くことになりました。
2024年9月14日ICA(コロンビア農牧庁)の正式発表によると、INVIMA(コロンビア医療食料品監督庁)とイラン間での衛生検要件策定及により、同国への牛肉輸出が実現しました!
コロンビアとイランの貿易関係は2016年の496万米ドルから2021年にはわずか11万米ドルへと減少傾向を示していた中で、この新市場の開拓はとりわけ重要とみられています。イランでは宗教的に豚肉の制限はありますが牛肉、羊肉、鶏肉が一般的に消費されているほか、主に羊肉や鶏肉が好まれる傾向が強いとのこと。ちなみにイランの1人当たりの年間牛肉消費量はおよそ5~10キログラム程度とされていますが、これは国際平均と比べると低めです。
ただ今回コロンビア側が強調しているのは、「コロンビアの牛肉輸出基準が認められた」という点。それもそのはず、牛肉の輸出基準では、品質、安全性、衛生面が特に重要です。
①衛生基準
HACCPはじめ、国際的な衛生基準に基づいた処理・加工が必要。特に病原菌の混入防止、衛生的な屠殺・処理が求められ、屠殺の方法についても、イランの宗教的規制(イスラム教のハラール基準)に適合できたということ。
②品質管理
牛肉の鮮度や部位の品質。冷凍・冷蔵技術や輸送中の温度管理が厳密に管理されるほか、肉質の基準(霜降り度、柔らかさ、色合い)がイラン市場の好みに合致していること。
③動物の健康管理
輸出される牛は、健康な個体であることが求められ、疾病管理が徹底されていること。狂牛病(BSE)や口蹄疫(FMD)のない輸出国であること(健康証明書や獣医師による検査結果提出)。
④トレーサビリティ
牛の履歴管理。どの農場で育てられたか、何を食べて育ったか、どのように処理されたかを追跡できるシステム。
コロンビアの牛肉は現在、93カ国に向けて合法的に輸出が可能です。ICAは今後も輸出拡大方針は変わらず、コロンビアの畜産業者を国際基準に合致させるため努力を惜しまないことを約束。より要求の厳しい国際市場に参入するため、指導を強化していくことになります。
今回、対イランの牛肉輸出は新しい経済的機会を見出すだけでなく、両国間の貿易関係を活性化させる後押しになるのかもしれません。個人的には、イスラム圏でのハラールに則った屠殺条件をクリアできたことを評価したい。イランでコロンビアの牛肉ブームが起こったら素晴らしいですね!(当地のおいしいPunta de Anca,イランの人に受け入れられますように)