COP16開催中のカリ! 会議成功の鍵は資金拠出の合意
そろそろ雨季に入る頃ですが、気温35度が続くカリ。それでも普段より暑く感じるのは熱気のせいかもしれません。
COP16(生物多様性条約第16回締約国会議。2024年10月21日~11月1日迄)において現在、約1万5,000人の各国代表者が参加しており、さらに約1,000人の報道関係者も集結。非公式に一般市民が参加できる「グリーンゾーン(zona verde)」も設けられ(写真参照)、約15万人が来場する見込。勿論厳重な警備が敷かれてており、市内や周辺地域には4,000人以上の警察官と1,700人の兵士を配置しています。ドローンや警備ボートの導入、そして観光や集会の主要な場所での特別パトロールが行われています。その努力の甲斐あり、今のところ外国人の標的にしたテロや殺人はありません。
本COP16のテーマは「自然との平和」。2022年COP15で採択された「昆明モントリオール生物多様性フレームワーク(KMGBF)」の進捗や点検・強化が主な目的です。このフレームワークは2050年までの生物多様性保全計画で、人間と自然が調和して生きるための行動目標を設定しています。
具体的には野生動物の管理や生物多様性の主流化(農業や観光業などの産業に生物多様性保全を組み込む)ですが、最大の課題は生物多様性保全のための資金確保です。要は環境資源を消費する先進国と、途上国のお金のバランス。現在、更新された国家生物多様性戦略と行動計画(NBSAP)を提出したのは34か国のみで、開発途上国の生物多様性保全支援のために先進国が年間200億ドルを2025年までに提供するという合意が難航中。新たな専用基金の設立についても各国の意見が分かれています。
最終週のテーマは特に、デジタル遺伝情報の管理や先住民族の権利に関する議論。これがCOP16の成功を左右するといわれますが、その鍵は「公平な利益分配」と「アクセス権限の管理」。具体的には、DSI(Digital Sequence Information)が生物多様性から派生する遺伝情報であることから、先進国がアクセス・利用する際に資源を持つ発展途上国や先住民コミュニティに正当な利益が還元されるかどうかが焦点です。
何をもって正当なのか?
環境は消費国(先進国)・途上国で単純に分けられるものなのか(人口が多い先進国だって野生動物や豊かな自然環境を備えている)? 先進国であれ途上国であれ、資源を提供する国がどうすれば自分達に経済的利益や知的財産の分配を受けていると実感できる政策がとれるのか。将来の技術発展に対応できる柔軟な制度をこのCOP16で構築できるのか、最後まで注視しようと思います。