コロンビアのコーヒー国際価格が4日連続で過去最高記録更新
先週のペトロ・トランプ危機は肝を冷やしました。突然在コロンビア米国領事館が「コロンビア人向けの査証発給業務を停止する」と発表した深夜、不法移民受け入れ航空機を拒否したことが発端であるとわかり、周囲のコロンビア人も動揺を隠せない様子。
米国に上陸したコロンビア人航空機の検査も厳格化するというし、我が家にもコロンビア人がいるので他人事ではない。またコロンビア産の品目関税を25%上乗せすると追加情報が入り、あっさりとペトロは大統領専用機で自国民を迎えに行く旨公表・・・。わずか9時間でのお騒がせ事案でしたが、南米きっての親米国コロンビアであっても、これまでの大統領がそれだけ苦労して友好関係を築いても、トランプ氏には一切関係ないのだと実感しました。そしてトランプ氏の采配によって右往左往する南米諸国・・・。個人的には、移送されるのは「不法」移民に限定しているし、自国から違法に滞在する外国人を放逐するのか法治国家として当然と考えますが、そのスピード感には驚くばかり。そして、出生地主義が廃止される旨を受け、妊娠中期の外国人女性(違法滞在)が「帝王切開で早く子どもを産めないか」と相談しているニュースを聞いて、暗い気持ちになりました。
さて、本題です。世界で流通する一般的なコモディティコーヒーの国際市場価格は需要と供給を踏まえて決まり、コロンビアで栽培するアラビカ種はニューヨーク商品取引所で決定されますが、1/30木曜日の終値は3.73ドルで、上昇傾向を示していることが分かりました(当地経済紙アグロネゴシオ2025年1月30日付)。前日1/29水曜日の終値は3.66ドルで、ここ数日と同様に史上最高値を記録。1/28は3.57ドルと上昇傾向で推移している。
トランプとペトロの危機の翌日もそれは変わりませんでした。
トレーダーによるとブラジルの現在のアラビカ種の収穫量のうち70~80%は売却済みで、新規取引は低調だといいます(ブラジルは世界のアラビカ豆の約半分を生産しており、一般的に焙煎や挽き割りブレンドに使用される高品質の品種とされる)。
同国は昨年の大干ばつの後気候はおおむね安定しており、ブラジル食糧供給機関であるコナブによれば、次回の収穫量は今回より4.4%少なくなる見込(ブラジル産コーヒー豆の国際価格は先週、3.47ドル・3.43ドル・3.41ドル3.27ドルで取引)。
コロンビアコーヒー豆にとって追い風となっている価格上昇ですが、2024年金額ベースで160億ペソの売り上げとなり、コロンビアのGDP全体の約1%、農業部門GDPの23%以上に貢献します。ブラジルと比較すると、同国では収穫量は5,470万袋強に達したが、前年比0.5%減少したのに対し、コロンビアでは収穫量ベースで23%増加していることも注目されています。
ただ、今回の外交・貿易危機を受けてFNC(全国コーヒー生産者連盟)は声明を発表しています。1927年以来米国市場とコーヒーを通じた友好関係を築き、コロンビアブランドであるカフェ・デ・コロンビアが米国で浸透してきたこと。現在コロンビアコーヒーの輸出量の約40%を米国が占めており、この市場での競争力を失うことの影響が多大であること。
55万6,000世帯のコーヒー生産者を代表して、コロンビア政府に対し、米国との貿易関係を優先するよう、また今回のような危機を引き起こす前に、コーヒー連盟が独自の外交ルートを構築する必要性を求めています。
今回、コロンビア・米国間の緊張は一時的に緩和されたものの両大統領の関係が完全に回復するかどうかは不透明です。米国はじめ主要な売り先に依存せず、貿易協定を活用し、関税の低い新興市場への進出を促進することが賢明と思われます。