コロンビアの「炭鉱列車」、農産物も乗せちゃう?—セレホン鉄道再生計画

コロンビア北部、カリブ海沿岸に向かってガタゴト走る一本の鉄道があります。その名もセレホン鉄道。これまでの役割はひたすら「石炭を運ぶこと」。巨大炭鉱から港へ、黒い宝を積み込んで世界へ送り出す、そのためだけに存在してきました。

ところが今、その鉄道に新しい未来が描かれています。「石炭列車」を「農産物列車」に衣替えしちゃおう、というのです。
石炭頼みのインフラをどう使う?
セレホン鉄道は全長約150km、ラ・グアヒラの炭鉱と港を一直線に結ぶ、いわば炭鉱のための専用レーン。国にとっても石炭輸出はドル箱でしたが、世界的な脱炭素の波は避けられません。
「石炭だけじゃ未来が描けない」——政府はそう判断し、この鉄道を「みんなの鉄道」にする計画を打ち出しました。
バナナやカカオを列車に!
コロンビアのカリブ海沿岸は農産物の宝庫。バナナ、カカオ、プランテン、パーム油……聞いただけでトロピカルな香りが漂ってきます。問題は、それを輸出港に運ぶ手段。今はトラック頼みですが、道路は穴だらけ、燃料は高い、渋滞もひどい。せっかくのフルーツが港に着くころには“熟れすぎている”なんて笑えない話も。
鉄道輸送が整えば、大量に、早く、しかもコストを抑えて運べます。農家の財布にもやさしいし、スーパーの棚に並ぶ果物の鮮度もキープ。ビジネスとしてはまさに「おいしい」展開です。
旅客も乗せれば観光列車に
さらに政府は、「せっかくだから人も乗せちゃおう」と旅客輸送にも前向きです。ラ・グアヒラはワユー族の文化や美しいビーチがある観光資源の宝庫ですが、アクセスが悪くて観光業が伸び悩んでいました。
「石炭列車」が「観光列車」に変身すれば、リュックを背負った旅行者がビーチに直行する未来も見えてきます。
投資家たちが色めき立つか?
もちろん大規模な整備には巨額の投資が必要です。そこで登場するのが官民連携(PPP)。すでに国内外のインフラ企業や投資ファンドが興味津々で、入札が始まれば熾烈な競争になるでしょう。建設業界にはビジネスチャンス、物流業界には新市場、金融業界には大型案件。
「セレホン鉄道?あれは石炭列車でしょ」なんて言っていると、気づいたら新しいビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
さらに政府は夢を大きく描いています。将来は国内の他の路線とつなぎ、さらにはベネズエラやブラジルにまで延ばし、南米北部の物流ハブにしたいという構想です。コロンビアのフルーツが鉄道で大陸を駆け抜ける日も来るかもしれません。