コラム コロンビアでの子育てで思うこと①ママ友という名の戦友。

当地にも様々な日本人がいますが、学生(修士)として足を踏み入れ、会社員、そして独立後は経営者でありフリーランス、また母親としてこの国に関わっている女性はあまり知りません。そんな視点から、今日は母親としての思い出を振り返ってみます。


上の子はギリギリまで妊婦健診を当地で受け、出産だけ日本に戻り生後3か月からカリ暮らしです。赤子を連れてこの土地に戻ると、日本のような公的な児童館や図書館はおろか、ふらっと歩いて行ける公園もありません。むしろ、舗装が整備されておらずベビーカーを押して家の外を歩くこともできないし、保健師訪問なんて皆無。気軽に話せる同年代の日本人すらいない状況。話し相手はパートナーのみでした。


赤ちゃんは生まれて6か月はなんだかんだ寝てばかり。何をしているというわけでもないのですが何にもできない。子どもを相手しながらできることって意外なほどないんです。寝てる間はPCを開いて、ボチボチ依頼のあった仕事ができますが、起きている間はずっとそばで本を読むか、授乳かおむつ替え。初めての子どもで私がまだ要領を得てなかった(そのわりに扱いは雑でよく2人目?ときかれましたが)こともあり「早くママ友がほしい」と痛切に思ってました。この時、抱っこ紐に子どもを入れて、歩いて5分のコロンビア日系人協会併設の図書館で絵本を読み聞かせるか、下のプールで足だけ遊ばせるだけ。気分転換に外を歩くとアジア人の赤ちゃんなんていないので、可愛いねとしょっちゅう声をかけられます。「うちにもこないだ甥っ子が産まれたんだ」なんてきくと、「えーっ! お願いだから紹介して!」なんて叫んだことさえありました。


そんな中、近くに幼児教育のジンボリーがあることを知って早速申し込んでみると、そこから音を立てて私の育児生活はにぎやかになりました。同じ月齢のママ友としょっちゅうコーヒーを飲み、動物園に繰り出し、家を行き来して子育ての悩みを共有する。日本のママ友と何ら変わりません。当地はお手伝いさんやベビーシッターを雇うことは珍しくないですが、たとえそんな恩恵を受けても4か月で子どもを預けて仕事復帰するしんどさ、私のように徐々に仕事再開する場合では常につきまとう中途半端感。毎日100%幸せなお母さんなんて一人もいませんでした。


コロンビアのいいところは、母親同士がファーストネームで呼びあいすぐに打ち解けるところ。もちろん今も子ども抜きで会うほど仲良く付き合っています。コロンビアでは、3歳から一貫校に入れることがよくあり、我が家も悩んだ末に小規模のインターナショナルスクールに入れました。そこは宗教色もなくアットホームなので、ジンボリーからのお友達も多くおさななじみらしく一緒に成長しています。そしてそれを見守る母親である私達も、2人目が生まれたり、離婚してシングルマザーになったり、内縁関係(Union Libre)を解消して新しい彼氏ができたり、5年経って見渡すとみんな新しいチャプターに入ってました。


いつも身なりに気を使い、女であることを楽しんでいるように見えるコロンビア人女性。授乳中でさえマニキュアと香水を欠かさない姿をみて、私も堂々とネイルサロンに通うようになりました。約束を「夫とのデートが入ったから」とドタキャンされて、「夫婦が人生の最小単位なんだ」と目が覚めました。だけど、そんないつも強くて自信たっぷりの彼女達でさえ夫の前妻との子ども関係に悩んだり、不妊手術を受けたり葛藤しています。普段、そんな内面は決して見せないけれど。


以前インスタを眺めていたとき、4年前の私のストーリーズに「彼女達に会えたから、私の出産は最高のタイミング」と書いてありました。それは今日に至るまで変わらない、偽らざる気持ちであり、私がこの国で育児して嬉しいと思う瞬間にはいつも、彼女達がいるのです。

ママ友という枠をすでに超えた、ただの愛すべき友人達ですが、小さな子ども達のくれた最大の贈り物でした。

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