コロンビア 環境負荷の少ない科学肥料の導入状況とは?
欧州グリーンディール(European Green Deal、EUが主導する持続可能な経済成長戦略)の影響により、「農場から食卓まで」戦略(Farm to Fork Strategy)の観点から農業の環境負荷低減に注目が集まっています。
コロンビアではまだ伝統的農法(アプリを使用したスマート農業の普及は未だ進んでいない)が主流となっているものの、より持続可能な方法への移行にはさすがに関心が強くなっています(ちょっとディスってる? そんなことありません)。
そんな中、最新の現状は?
例えば、世界に所在する80万ヘクタールを超えるコーヒー栽培面積のうち、CO2排出量の少ない肥料(有機肥料、バイオベース肥料、緑肥作物、循環型肥料、スマート肥料等)を使用しているのはわずか33%にすぎません。
一方コロンビアでは、CO2排出量の少ない同肥料の使用が進んでおり、コーヒーに限ればウイラ県の41%、次いでアンティオキア県の34%、サンタンデール県の59%、カウカ県の28%、トリマ県の22%、ナリーニョ県の63%、カルダス県の28%、リサラルダ県の32%が動植物由来の有機物を原料とした有機肥料(堆肥等)の普及が明らかになっています(当地経済紙Portafolio,2024年6月20日付)。
いうまでもなく、コロンビアにおけるカーボンフットプリントの削減並びに国際社会に向けたアピールになるほか、こうした環境負荷の低い肥料の使用は土壌保護と同義となり、持続可能な農業の実現に近づきます。
一方、こうした肥料を使う現時点のデメリットは生産性となります。
当地のコーヒー生産量は1ヘクタールあたり平均990キロだが、理想はこれの10倍以上となります。そのためには土壌の栄養状態や気候ニュートラルに適した肥料を使用する必要がある一方、コーヒー生産の関係当局は、コーヒー作物の施肥量や栄養状態が著しく低いことに懸念を表明しており、環境負荷の低減された肥料と生産性向上のジレンマに揺れていることも浮き彫りとなっています。肥沃度の向上ではスマート農業が欠かせないため、新たな技術を導入しながら長期的な視点で土壌と環境の健康を維持することが重要となります。