コロンビア産鶏肉の日本市場上陸:ブラジルとの対比から見る2026年への戦略的展望

コロンビアの農業界において、2025年10月は歴史的な転換点となりました。15年間に及ぶ検疫交渉と設備投資の末、ついにコロンビア産鶏肉の日本向け輸出が開始されたからです。このニュースは単なる輸出先の追加ではなく、世界の鶏肉輸出市場で圧倒的なシェアを誇るブラジルという巨人に、コロンビアが独自の付加価値を武器に挑み始めたことを象徴していると考えます。2026年、この「南米対決」は日本の食卓の安定供給を支える新たな軸となるのでしょうか?
まず圧倒的な規模を誇るブラジルとの統計的な差を直視する必要があります。ブラジルの鶏肉といえば、去年一時帰国した際、業務スーパーや大手TRIALでも散々見かけたお買い得商品の代表格。それもそのはず、世界最大の輸出国であるブラジルは2026年の鶏肉生産量が過去最高の1,586万トンに達すると予測されており、日本市場においても長年トップシェアを維持しています。一方、コロンビアの2025年の鶏肉生産量は約200万トンと、ブラジルの約8分の1の規模に留まります。しかし、成長率に目を向けると、コロンビアの2025年生産成長率は前年比+9.1%を記録しており、ブラジルの成長率(予測+3%前後)を大きく上回る勢いで拡大しています。コロンビアの養鶏連盟(FENAVI)によれば、2025年の総生産額は44.5兆ペソ(約1.7兆円)に達し、国内農業GDPを牽引する最強のセクターへと進化しました。
コロンビアがブラジルに対する「対抗馬」として浮上した最大の理由は、その極めて高い「防疫ステータス」にあります。ブラジルは近年、一部地域での鳥インフルエンザ発生に伴う一時的な輸出停止リスクにさらされてきましたが、コロンビアは徹底した地理的隔離とバイオセキュリティへの投資により、主要な輸出認定施設において「清浄性」を維持し続けています。日本のような衛生基準に極めて厳しい市場にとって、コロンビアはブラジルへの過度な依存を回避するための「リスク分散の切り札」としての価値を急速に高めています。
2026年の展望において、コロンビアはさらなる攻勢を仕掛けています。2025年末には卵製品の米国輸出が開始され、2026年初頭には中国市場への参入に向けた最終調整段階に入りました。日本向けについても、当初のカーギル社(旧Pollos El Bucanero)による12.5トンの初回出荷を皮切りに、現在では7つの施設が日本当局の認可を得ており、2026年を通じて輸出量は指数関数的に増加する見通しです。特に、ブラジルが得意とする大量供給・低価格路線に対し、コロンビアは「サステナブルかつ安全」というブランドイメージを確立し、日本の外食チェーンや中食産業におけるプレミアム・インフルエンザ・フリー枠の確保を狙っています。
さらに、2026年はコロンビア国内のインフラ改革が輸出を後押しします。ペトロ政権が進める農地改革と物流網のデジタル化により、生産コストの約7割を占める飼料運搬の効率化が進み、ブラジル産に対する価格競争力も徐々に改善される見込みです。2026年末までに、コロンビアの鶏肉セクターは「コーヒーに次ぐ外貨獲得の柱」としての地位を確立し、日本市場における南米産の勢力図を塗り替える存在になることが確実視されています。
そして何より、コロンビアの鶏肉はおいしい。その驚くべき肉質の強さと、噛み締めるほどにあふれ出す濃厚な旨味はぜひ、味わってほしい・・・。

コロンビアの名物料理アヒアコも、チキンを割きます。
ブラジル産が効率を重視した大規模飼育により比較的柔らかく淡泊な味わいであるのに対し、コロンビア産の鶏肉は身が驚くほどしっかりと引き締まっています。「妥協の代替品」ではなく、「指名買いされるプレミアム・チキン」としてのコロンビア鶏肉に期待しています。

