コロナ明けのコロンビア・サレントで見るスペシャリティコーヒー産業の今
現在、コーヒーは約60カ国で生産されており特にブラジル、ベトナム、コロンビアの上位3か国が有名です。当地はコーヒーを栽培し、諸外国に輸出して外貨を得てきた伝統があり、世界最大のアラビカ種コーヒー生産国でもあります。当地から輸出される多くはコモディティコーヒー(缶コーヒーの原料)であり、全てブレンドされて国際価格で決められ、生産者が付加価値を付けることはないものの、ゲイシャはじめスペシャリティコーヒーも飲まれています。
このスペシャリティコーヒー産業は、弊社のプロジェクトのターゲットの一つでもあります。今回、100年以上栽培と手法を守り続け「コロンビアのコーヒー産地の文化的景観」として世界遺産に指定された「サレント」のコーヒー農園「Finca Don Elias」を訪れました。2年前に面会したオーナーのElias氏はアルメニアに移住してしまい、現在は娘に経営を譲ったとのこと。同農園はコロナ期間中は約1年人の出入りをシャットアウトしていたそうですが、相変わらず高品質なスペシャリティコーヒーを作ることに取り組んでいます。自らの畑でコーヒーを栽培し、海外で焙煎するために生豆で輸出するほか、残りは、主に国内市場向けに昔ながらの方法で加工および焙煎がされています。
まず初め、先住民の医療用ハーブが自生する畑で説明を聞きます。そして忘れてならないのがバナナ。コーヒーの木は定期的に水を必要とするのですが、バナナの木は内部に水を蓄え、土壌が乾くと水分を供給する力があるそう。
ここで育ったオーガニックバナナは果肉がほんのりピンクで、土の滋味がぎっしりと詰まっており一度このバナナを食べると、もうスーパーの二束三文国産バナナには戻れないほど。2年前に食べて以来その味に惚れ込んでしまい、今回は「まだ熟してないけど、カリに戻って食べて!」と三房持たせていただきました。
コーヒーの苗。実がなるまで3年かかります。
大きな木になるまでは12年。高低差があり、機械化のできない分野。この範囲をたった2人のスタッフが管理しているそう。コーヒーチェリーはまるでさくらんぼのようなフルーティな味。
豆の選別、洗浄、乾燥作業。
乾燥作業。時間によって豆の色(白いほど一級品、黒いほど二級品)が変わります。基本的に、風味を損なわないよう生豆で出荷され、焙煎は消費国で行われます。
極上の一杯。間違いなく、これまで飲んだコーヒーで一番美味しい。二番目はこちらで飲んだ2年前です。
普段飲んでいる一杯のコーヒーに、こんなにも多くの労力がかかっていること、そして農場の方とは山に存在するスピリチュアル信仰、先住民との関わり、木を育てるということ・・・時を忘れて語らいました。ずっとこの景色が見られるよう、今後も彼らのビジネスチャンス拡大をサポートしていきます。