アンティオキアで遺伝子組換えパパイヤ播種の動き

南国フルーツの代表格であるパパイヤは当地では年間約6万4,000トン生産されており、現在そのうち約38%は中央部メタ県で栽培されている。

一方、伝統的には北西部アンティオキア県ソペトランで栽培されており、パパイヤリングスポットウイルス(PRSV)病のため壊滅的な状況が続いていた。PRSVは元々アブラムシの一種によって媒介し、葉が縮れ、実に斑点が生じる。パパイヤは荒地に土を入れ、そこに苗を植え、やがて根を張って成長するため収穫まで約3年かかる。一度ウイルスに侵されれば新しく栽培するのは現実的に不可能であり、このウィルスに抵抗性のある品種しか同じ畑では栽培できないことになる。


アンティオキアで再びパパイヤを栽培できるよう、1990年よりメデリン国立大学でPRSVに耐性を持たせた遺伝子組換えパパイヤの研究が始まった。遺伝子組換えパパイヤの植物体が得られ、生産者と研究者、検疫局(ICA)の協力のもと試験栽培を経て、2022年新品種「コトヴェ」が誕生した。

すでに200本の苗がすでにアンティオキアで発芽しており、今後、農家の被害や要望に応じてコトヴェ苗を配布していくものとみられる。「優れた品種ならば栽培してみたい」のは生産者に共通の思いで、主にバナナ生産地となったアンティオキアで再びパパイヤ圃場が見れそうだ。
また、当地スーパーマーケットでもウィルス抵抗性を加えた新品種パパイヤが流通される日が近づいている。コロンビアでも、遺伝子組み換えに過剰反応する消費者、あくまで遺伝子組換え技術をヒトの予防接種のように理解し受け入れる消費者と様々である。栽培し流通するまでは生産者の問題であっても、消費者の選択の天秤にどうかけられるか、その審判が迫っている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です