コロンビアのコーヒー収穫プロセス効率化の道とは?
仕事柄コロンビアのコーヒー農園を訪れた経験は何度もあります。ぬかるんだ山道を陸路で数時間…(そう、コーヒーは寒暖差と雨量が必要なため、車一台通のがやっとの獣道の先にあるのです)、本当にこんなところに世界有数のコーヒーがあるのか、と気が遠くなった瞬間に現れる農園。観光農園なんて皆無なので(特にバジェ県)、農家さんとゆっくり話しながら、コーヒーをいただきながら拝見するアラビカ種(当地は Típica, Borbón, Maragogype, Tabi, Caturra, Colombiaという6種類を栽培)の味は格別。最近はTabi種が流行しているようで、着手する新規農家さんが多い印象です。
精製処理は主に水洗式で、たくさんの水を使って粘液を取りこぼさず何度も水を変えながら洗います。アンデス山脈お膝元の当地、水の豊富さとおいしさはお墨付きなので、たくさんの人の手を使いながら何度も洗って精製…気が遠くなるプロセスです(いや、ほんとに見ていてびっくりする工程の多さ。一杯のコーヒーって値段安いわ).
そんな中いつも話題にのぼるのは機械化の今後について。機械が入らないというシンプルな理由と、手摘みのほうがイメージがいい…というぶっちゃけた下心もあって、コーヒー部門はとにかく機械化に踏み切れない。でも現場の声としては、特に収穫でかがんだり何時間もかごを背負って数キロの豆の収穫となるとやってられないのも正直な声。機械式ポンプ、ドローン、アプリ(あんな辺鄙な場所でしたが、アンテナを張ってぎりぎり携帯は作動していた)は、どのくらい浸透しているのか?
現場も手をこまねいているわけではなく、ウイラ県などのコーヒー地帯では種子から粘液を取り除く脱液工程において、脱液機(パルパーで処理された後、粘液を取り除くための機械)の使用が拡大しており水を使用して粘液を洗い流すか、機械的な摩擦で粘液を取り除く方法が挙げられます(エコプルパーやベクパルパー)。スピードアップするだけでなく、節水やコーヒーの品質向上にもつながるんだとか。
また、発酵洗浄では、ポンプを使用することで種子に付着したハチミツを除去する工程がスピードアップし、これが今後全国的に標準化される方針とも伺いました。最後に乾燥工程では、ファンを利用して温度を変化させながら気流を送り出し、スピードアップに貢献しているんだとか。
また、一部農園ではドローンが導入され農薬散布に利用している・・・。
うーん、はっきり言ってまだまだ! 私が見ていて一番機械化が待たれるのは収穫。ベトナムやブラジルの大規模プランテーションで導入されているような、ストリップハーベスター(コーヒーの枝を一度に揺らし、チェリーを一斉に落とすマシーン)、選択的収穫機(色や熟度センサーを使用して、熟したチェリーのみを選んで収穫)に似た、コロンビア仕様の小型機械があればどんなにいいだろう。導入にあたり壁は多いけど、手持ち型のハンドヘルドメカニカルハーベスターも最近よく聞かれるので、そっちが入手しやすいかもしれない・・・などと考えています。
同様に、作物やコーヒー豆を監視するためのアプリケーションは、ポストハーベスト処理段階の管理、作業のスケジュール管理、天候の把握、コーヒー価格の参照などですでに始まっていますが、いかんせんネット環境にないところもおおくこちらもゆっくりと進んでいる様子。
FNCによると2024年上半期の生産量は全国で計582万袋で、2023年同期比で16%増加した。同様に、輸出量も前年比15%増の574万袋となっており、今後もコーヒー機械化という命題にどう取り組むのか、注視が必要です!