EUの森林破壊防止法(Deforestation Regulation)がコロンビアのコーヒーに与える影響とは?

2021年に欧州委員会から提案され2023年に最終的な合意に達し、2024年12月に発効が待たれるEUの森林破壊防止法(Deforestation Regulation)。

この法律の目的は、EUが世界の森林破壊に与える影響を低減し、持続可能な生産と消費を促進すること。主に、
①違法伐採製品の禁止:EU市場に持ち込まれる製品が違法に伐採された木材や農産物を含んでいないことを確認する義務が輸入業者に課される。
②デューデリジェンスの義務: 輸入業者や企業は、サプライチェーン全体にわたって森林破壊に関連するリスクを評価し、必要な措置(リスク評価、是正措置)を講じる。
また対象製品に①木材、②パーム油、③大豆、④コーヒー、⑤カカオなど、森林破壊と関連が深い農産物が対象となり、これらの製品を使用した加工品も含まれている。

コーヒーはコロンビアを代表する輸出産品であり、零細農家に大きく依存しています。EU向けコロンビア産コーヒーの輸出も盛んですが、①「コーヒー豆が違法伐採でないことを証明する」書類の詳細が不明であるため多くの生産者が準備不足に陥っており、供給の混乱が予想。その結果、貿易業者は12月30日までにできる限りEUに出荷しようと輸出を急いでいます(当地経済紙アグロネゴシオ2024年8月31日付)。
7月までの7ヶ月間、世界有数のコーヒー生産国であるブラジルからの輸出は、昨年比で65%増加。ウガンダは、主要生産国であるベトナムの大規模な供給不足の後、欧州向けロブスタコーヒーの供給に注力しており、先月は記録的な輸出量を記録したほど。EUの森林破壊防止法が施行される最後の収穫は今年10月のため、それに向けた収穫・調整・輸出が急ピッチで進んでいるんだとか。また価格面をみると、主にインスタントコーヒーに使用されるロブスタ豆は1970年代以来の高値に高騰しており、加えてより品質の高いアラビカ豆は、2024年30%以上も上昇している。コンテナ不足、輸送時間の長期化も状況を悪化させている。


森林破壊防止法が施行されると、デューデリジェンス(適切な注意義務)のほか、リスク調査等や持続可能性の調査のための追加コストが多くのコロンビアコーヒー生産零細農家を苦しめることになります。また、EUの市場にコーヒーを輸出する業者が森林破壊に関与していると判断された場合製品のEU市場へのアクセスが制限される一方、供給が認められればそのブランドイメージ向上も言わずもがな。
多くのコーヒー業者と同じように、コロンビア生産農家も「サプライチェーンの再編をすべきか(EUから一旦退くか)、環境意識の高い消費者層を盛り込むため、書類準備に時間とコストを費やすか…。

私は長期的な利益に繋がる可能性を見据え、体力のある大手企業が生き残り、小規模零細農家はほぼ脱落するのではないかと予想しています。

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