コロンビア 農産加工品輸出が金額ベースで過去最高を記録 日本にとっての新たなビジネスチャンスとなるか

2025年3月、コロンビアの農業および農産加工品の輸出額が、前年同月比で51.3%増加し14億ドル(約2,150億円)を突破した。これは同国の農業輸出における史上最高額であり、単なる一次産品輸出国から付加価値を伴うアグリビジネス国家へ布石とみられます。
コロンビアは近年、これまでの伝統的輸出品目であるコーヒーや花卉に加えアボカド、パイナップル、熱帯果実、そしてこれらを加工したジュース、冷凍食品、精製オイルなどの輸出に注力してきました。輸出先も従来の欧米中心から中国や湾岸諸国、日本といったアジア市場へと展開が広がっています。
この背景として、①ペトロ政府が牽引する農業投資政策、②民間企業の加工技術の高度化、そして③国際的な食品安全基準への適合努力である。特にEUと米国の厳しい残留農薬基準に対応できる農園の整備が進んでおり、GAP(農業生産工程管理)やHACCPの導入が急ピッチで進められています。
加えてコロンビア政府は2025年を「農業コミュニティ農業元年」と位置づけ、430億ペソ(約11億米ドル)の公的投資を決定。零細農家への金融アクセス拡充や、農業保険制度の整備により、これまで輸出市場にアクセスできなかった生産者が一台のタブレットとポータルサービスを武器に国際バリューチェーンに組み込まれるようになってきました。
またポスト加工分野では冷凍、乾燥、真空パックなどの技術がローカル企業の手によって開発され、輸出商品の多様化と付加価値化が進んでいます。これまで農産品は単なる生鮮物でしたが、パッケージ込みの「加工品」「健康食品」として輸出する流れが加速しているのです。
この動向は、無論日本の食品・流通・機械メーカーにとって重要なビジネスチャンスを提示します。まず、加工技術や機械の供給において日本企業の高品質な製品は大きな引き合いが期待されるほか、コロンビア国内の食品加工業者は、衛生基準や生産性を向上させるための装置投資(例 フルーツを分類するためのセンサーによる選択装置等)を積極的に進めており、真空包装機、冷凍システム、乾燥装置などの導入に関心が高まっています。
加えて、農業分野ではスマート農業機器──精密灌漑ドローンやセンサー、クラウド型の作物管理システムなど──の導入余地も大きく、日本のアグリテック企業が現地の農業協同組合や大学、技術センターと連携することで、共同開発や普及プロジェクトの実現が可能と考え、数十億円規模になるとか。
単なる製品供給者に留まらず、現地パートナーと共に市場を創り上げていく姿勢が必要で、例えば、農家組合と共同で加工施設のモデル構築を行い、その後のオペレーションや保守に関わることで、継続的な関係性と収益モデルが築けることになるでしょう。
また、日本側が製品開発に現地原料を活用し、コロンビアを「原料供給国」から「商品共創パートナー」へと格上げしていくような戦略も有効だ。日本市場向けのスムージーや加工米製品(実は弊社も着手している)、機能性食品などにおいて、コロンビア原産の付加価値素材が使われれば、双方のブランド価値が高まることも期待できます。
太平洋・カリブ海に面し、北米・中米との物流アクセスに優れる地理的条件を持つコロンビアは、今後のグローバル農産物流通における「中継拠点」としてのポテンシャルも高いのです。生産・加工・輸出の一体型ビジネスモデルの構築により、中南米農業を牽引する役割を担うことが期待されており、この波に、日本企業が乗り遅れる理由はありません。新しい農業国へのシフトチェンジに、ともに挑戦していきたいと思います。