コロンビア経済、回復の兆し―農業が牽引する成長への道筋について

当地経済紙El Paisによると、2024年コロンビア経済は前年比1.7%の実質成長を記録、2023年の0.7%から回復基調へと転じました。この結果を支えた最大の要因の一つが農業セクターであり、ペトロ政権が牽引する”石油資源依存からの脱却と地域のインクルーシブ成長”が求められる中、コロンビアの農業はその存在感を増しています。日本企業はどう展開するべきなのでしょうか?
国家統計庁(DANE)によると、2024年農業分野の成長率は前年同期比8.1%に達し全産業の中でも最も高い成長を記録しました。特にコーヒー産業は国際価格の上昇により22.5%の急伸を見せ、直接的な追い風となっています。また、農業は農村地域の雇用を支える重要部門であり、約5,000万人口の約18%が直接的に農業に従事している。さらに、そのサプライチェーンは物流、加工業、輸出など幅広い産業に波及効果を持ち、国内消費の回復にも寄与していることは言わずもがなです。
一方で、2024年のGDP成長率全体を押し下げた要因の一つが、国内投資の低迷です。BBVAリサーチによると2022年にGDP比約20%を占めていた投資額は、2024年には17.1%に低下。とりわけ建設やインフラへの投資が鈍化しており、成長の足を引っ張っています。
そうした中、持続可能な成長を目指すうえで注目されているのが、農業分野への投資拡大でしょう。農地の整備、灌漑システムの導入、スマート農業技術の普及、ポストハーベスト処理施設の整備といったインフラ投資は、比較的少額の投資で高い社会的リターンが見込まれます。事実、コロンビア政府は2025年予算案の中で農村振興計画への支出を前年比15%増とし、持続可能な食料システム構築を掲げています。他方、ペトロ政権が掲げる「脱化石燃料依存」の経済政策は、短期的には石油・鉱業部門にマイナスの影響を与えており、2024年の鉱業・石油部門の成長率はマイナス5.2%、製造業も同2.1%の減少に沈みました。
BBVAリサーチやFocusEconomicsの予測によれば、2025年通年の成長率は2.5%〜2.8%に達する見込みです。金利の低下とインフレの鈍化が消費と住宅市場を刺激し、さらに農業の外貨獲得力も高まっています。
コロンビアがポスト資源依存の時代を迎える中、農業は単なる伝統産業ではなく、経済成長・地域発展・気候対策・食料安全保障のすべてを支える基幹産業としての役割を強めています。