脱カーネーションで花咲くコロンビアの切り花産業

南米コロンビアの切り花産業はこれまで、カーネーション(洋菊に次ぐ代表的切り花品目)を中心に発展してきました。1960~70年代に欧米向けの輸出産業として急成長し、やがて世界的な花輸出国へと飛躍。ところが近年、品種多様化と市場の変化を背景に「脱カーネーション」の動きが鮮明になってきています。

コロンビアは現在、年間輸出台数・価値規模ともに世界有数の切り花生産国。2022年には輸出額が20 億ドルを超え、輸出数量も32万トンに達しました。
輸出先としては、特に米国が全体の7〜8割を占めており、2023年には輸出額20億8000万ドルのうち、米国向けが16億ドルとなっています。

一時期、カーネーションはコロンビアの切り花輸出を象徴する品目でした。たとえば7,665 haの輸出用花壇のうち17%(約910 ha)がカーネーションで、しかもその97%がクンディナマルカ県で栽培されていたのこと。
しかしながら、輸出構成を品目別にみると、2024年時点でバラが輸出額の32.8%を占めており、ハイドランジア(アジサイ系)の成長率も6.7 %という見通し。また、2024年時点でカーネーションの割合は12%前後とされ、バラ・菊・アルストロメリアなど多品目化のトレンドが顕著です。

この背景にはいくつかの理由があります。

まず、世界の花市場において消費者の嗜好が多様化し、「長持ち」「珍しい色・形」「環境配慮/サステナブル」の切り花が重視されるようになってきたこと。コロンビアでも、輸出農園の半数以上が「Florverde」などの環境・社会認証を取得し、輸出先バイヤーからの要求水準が上がっています。


次に、カーネーションは比較的栽培・出荷が容易であった一方、成長停滞・価格上昇・差別化困難という課題に直面しており、より高付加価値で希少性のある品目へシフトする動きが出ていること。実際、2023年時点で切り花輸出額は約20億ドルとなり、輸出数量は約31 万トンと前年から若干減少。輸出単価上昇=量から質へのシフトが進んでいると言えます。
輸出地域も、米国中心から、スペイン・英国など欧州や中東・アジア市場への拡大が進み、たとえば2025年前半にはスペイン向け輸出額が前年同期比で43%増加しました。

品目別では、バラが依然として主役を握っており、2024年では輸出額シェアの約33%を占めました。次いでアルストロメリア、ハイドランジアといった品種が「脱カーネーション」の象徴として注目されています。加えて、カーネーション自体も「より耐久性・輸送性・色彩バリエーション」の進化版が登場し、価格も持ち直しつつあります。

国際市場の相場については、世界の切り花輸出全体では2030年に約501 億ドル規模に達するという予測があります。
この中で、コロンビアは「量よりも質」「多品目化」「サステナブル生産によるプレミアム市場参入」という戦略が鍵となっています。たとえば米国向けでは、コロンビア産切り花が米国国内輸入切り花の約60%以上を占めるという推計も。

この脱カーネーションシフトには次のような示唆があると考えます。第一に、カーネーションに代わる品目(バラ、ハイドランジア、アルストロメリアなど)に注力している農園との連携機会があるということ。第二に、輸出先である米国・欧州・アジア市場の消費傾向・物流要件・サステナブル認証への要求を踏まえたトレーサビリティ・品質管理体制の構築が付加価値を生みやすいということ。第三に、日本市場向けに「希少品種・高品質・ストーリー性(例:コロンビア高地・多様性・環境配慮)」を打ち出して差別化できる余地があるということです。

ただし、留意すべき課題もあります。気候変動や降雨・病害虫の変化、航空輸送費の上昇、小規模農家の技術格差などです。特に「脱カーネーション=新品目展開」には設備投資・技術習得・市場開拓コストが伴うため、実装支援・リスク管理。

コロンビアの切り花産業は「カーネーション中心」から「多品目・高付加価値・サステナブル志向」への転換期にあります。日本企業・投資家・農業支援者の視点では、この変化を捉え「次の切り花輸出・ブランド構築」を共創する好機と捉えるのが有効ではないでしょうか。

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