コロンビア農業の変革:再生農業と炭素クレジットが創出する「第2の収穫」

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コロンビアにおいて、再生農業(リジェネラティブ農業)と炭素クレジットを組み合わせた「脱炭素型農業」が、新たな輸出競争力として急速に台頭しています。

再生農業とは、土壌を耕さない不耕起栽培や被覆作物の活用により土壌の生態系を回復させ、大気中の二酸化炭素を地中に固定する農法(これまでの農業が「土から栄養を奪う」ものだったのに対し、不耕起栽培や被覆作物は「土を健康にして、地球を冷やす力を取り戻す」農法)。これは単なる環境配慮を超え、収益の多角化と市場アクセスの確保を狙う経営戦略としての側面を強めています。

コロンビア政府の統計によれば、同国の農業部門は温室効果ガス排出量の約20%を占めており(環境省)この削減が国家目標の要となっています。そんな中、従来の「肥料を投入して収穫を絞り出す」モデルから、土壌という固定資産の価値を再評価し、長期的な減価償却コストを下げる投資モデル(
農業を「土を使い捨てにする消耗戦」から、「土をメンテナンスして価値を高め続ける資産運用」に変える考え方)へのパラダイムシフトが起きています。

現在の炭素クレジット市場は「質の二極化」が進んでおり、2025年のデータでは一般的なクレジット価格が平均約6ドルに留まる一方、農業や森林保全を伴う高品質な自然由来クレジットは1トンあたり12ドルから26ドルのプレミアム価格(!)で取引されています。

コロンビアは中南米炭素クレジット生成量の約28.5%を占め、ブラジルの25.6%を抜いて地域トップの供給国となっており、市場が「量」から「質」へシフトする中で、生物多様性や小規模農家支援といった付加価値を証明しやすいコロンビア産クレジットは、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する経営者にとって非常に魅力的な収益源となり得るんだとか。

ネスレなどの外資系企業は、サプライチェーンの脱炭素化に向けてコロンビアの農家へ数千万ドル規模の支援を行っていますが、これは慈善事業ではなく、将来の調達不能リスクに対する対策です。化学肥料からの脱却初期には収穫量が10%から20%減少する「Jカーブ現象」のリスクがありますが、炭素クレジットによる収益がこの期間のキャッシュフローを補完する役割を果たしており、再生農業を導入しない農地は将来的に主要マーケットから締め出されるリスクがあることは事実。2026年には、コロンビア国内で新たな排出権取引制度(ETS)や国際取引の規制整備が進み、さらにEUの森林破壊防止法(EUDR)などの国際規制が本格化する中、規制を単なるコストと捉えるのではなく、競合他社に対する参入障壁と捉え、物流や港湾インフラと連動した「グリーン・回廊」を構築した者が、次世代のコロンビア・ビジネスを制することになりそうです。

それにしても、質から量に変わってきたなぁ・・・と思わざるを得ません。

(写真はイバゲ稲作農家。スマート農業導入中)

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