<コラム>コロンビア金融政策の転換:政策金利10.25%への引き上げが農業セクターに与える構造的インパクト

いつかの田んぼの学校の一コマ@イバゲ

コロンビアの中央銀行が2026年2月に発表した「政策金利10.25%への引き上げ」というニュースは、単なる金融統計の変化ではなく、現地の農業経営のあり方を根本から変える大きな転換点となりそうです。

2025年を通じて続いてきた利下げ傾向が終わり、2年9カ月ぶりとなるこの大幅な利上げは、特に資金力に乏しい中規模以下の農家にとって、極めて厳しい経営判断を迫るものとなっています。

この金利上昇がもたらす最大の直接的インパクトは、まず農家が銀行から借りるお金の「レンタル料(利息)」の急騰です。コロンビアの農業現場では、新しい苗木の植え替えや乾燥設備の導入に多くの借入金が必要とされますが、金利が10%を超えると、返済負担が収益を上回るリスクが現実味を帯びてきます。さらに深刻なのは、同時期に断行された23.7%という歴史的な最低賃金の引き上げです。労働集約的なカカオや果物栽培において、この賃金増と高金利の「ダブルパンチ」は、生産者物価指数(PPI)を押し上げ、1月だけで農業セクターのコストを2.90%も上昇させました。

こうしたマクロ経済の歪みは、現地農家の投資意欲を冷え込ませ、本来なら輸出拡大に向けた品質向上に充てられるべき資金が、借金の返済や人件費の支払いに消えていくという悪循環を生んでいます。しかし、ビジネスの視点からこの状況を冷静に分析すると、日本企業にとってはかつてない「戦略的参入」の好機が訪れていると言えます。現地農家が国内銀行からの高利融資を避けている今、日本側が「前払い」や「無利子に近い形での設備投資支援」を条件に独占的な取引を持ちかけることは、農家にとって銀行融資を遥かに凌ぐ強力な支援(ソリューション)となるからです。

11月には日本から食と農のプロジェクトに関するビジネス団来訪を予定していますが、彼らが直面するのは、この厳しい経済環境の中で必死に生き残ろうとする志の高いコロンビア農家や加工メーカーの姿です。今、日本側が単なる「バイヤー」としてではなく、現地の高金利リスクを肩代わりする「パートナー」として資金や技術を提供すれば、コロンビア産の高品質なカカオや乾燥果実という希少なリソースを、長期にわたって安定的に確保することが可能になるかもしれません。

この厳しい冬の時代に手を差し伸べることが、結果として日本市場における「タイパ」と「コスパ」を最大化する最短の道となるのです。

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