西アフリカの大雨によるカカオの供給不足止まらず コロンビアの生産者は輸出拡大へ

世界中でカカオ高騰が深刻となっています。

西アフリカを中心に気候変動や病害虫からくる不作から、前例のない品不足で市場は崩壊寸前との見方も(当地経済紙アグロネゴシオ2024年3月28日付)。先物価格はわずか3ヶ月で2倍以上に跳ね上がり、トレーダー、加工業者、生産業者により多くの現金を投じてヘッジ取引を行うか、撤退を余儀なくさせている模様。


世界のカカオ豆のほとんどが生産されている西アフリカ(コートジボワール、ガーナ)での大雨・洪水による不作が3年目の供給不足は、まず同地域生産地での調達競争を引き起こしました。コートジボワールでは多くの貿易業者や加工業者が、政府が設定した価格よりも高い金額を農家に支払うことで供給の確保を急ぎ、その中にはエクアドルやインドネシアなどの小規模生産者に目を向けた業者もいました。

また、年末に施行される欧州連合(EU)の新規則では、カカオが森林破壊された用地由来ではないことを証明することが企業に求められるため、EUは森林伐採の同規制を遅らせるよう求めるロビー活動もあるようです(当地経済紙アグロネゴシオ2024年3月28日付)。加えて、カカオの国際需要には製菓業界等の加工業者が大きな鍵を握っており、Circana社の調査によると米国の小売業者は2023年、国際情勢を受けチョコレート製品の価格を前年比11.6%値上げしました。

コロンビアの生産者はこの状況をどう受け止めているのでしょうか?


当地は世界第10位、中南米では第5位のカカオ生産国であり、2023年生産量は約6万トン、輸出量は約4,000トン、輸入量は約20万トンであり、ほとんどのカカオはコロンビア内で消費されており、年間需要は約45,000トン(コロンビア国立カカオ評議会)。コロンビアカカオは世界的にはまだ希少性があり、世界では1.5%程度しか出回っていません(同上)。

輸出は高騰している先物価格に左右されるため、当地生産者は現時点で恩恵を享受しています。また国内市場に限定すると、2023年11月に施行された15%の付加価値税のほか、2024年末には20%に引き上げられる健康税がこれらの製品にもさらなる圧力をかけてないかを現場では懸念の声がでているほど、生産面でのリスクは一切ない。
そしてアフリカの供給不足から、コロンビアのチョコレート生産は輸出拡大へと動きが出ており、当地食品大手企業Nutresa社は最近、100億ペソの投資を発表し、対チョコレート市場の投資が活発化しています。


個人的には、当地の生物多様性に支えられるコロンビア産高付加価値チョコレートはもっと知られてもいいと確信しています(イバゲ産チョコレートのビジネスサポートもしていますが。カカオハンターも有名ですよね)。生産と加工技術を両輪に、「ガーナチョコもいいけど、コロンビアのチョコレートも味が深いよね」という声を当たり前に聞ける世界に持っていかなければ! とふんどしを締め直しております。

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